鳥海氏
JR中央線快速列車にグリーン車が導入されたのは昨年(2024年)10月13日。この日からグリーン車付きの12両編成が登場し、今年(2025年)3月にかけて徐々に増やす計画であったことから、グリーン車付きの12両編成とグリーン車なしの10両編成が混在し、徐々にグリーン車付きの12両編成が増えていった。
この過程においては、お試しという形で4号車と5号車のグリーン車が無料で利用可能だったことで、この時期はグリーン車の扉の前には長い列ができたことも珍しくなかった。そして、今年3月15日から正式なグリーン車サービスを開始し、他の路線同様に有料での利用となった。
正式導入から約8カ月が経過し、私も何度か利用する機会があったが、まず驚いたのは東京駅での折り返し作業。通常の車両は東京駅に到着して乗客が降りればその時点ですぐに乗車できるが、グリーン車はシートを逆方向に転換しなければならず、その作業が必要となる。
簡単な清掃や忘れ物のチェックも含めて作業する人を必ず配置し、東京駅で降りる乗客が全て降りた段階でドアの前にまだ乗車できない旨の案内版が床に置かれ、短時間であっという間に乗車準備を整え、床に置かれた案内版が撤去されると乗車できる仕組みになっている。
本当にスピーディーな作業で、海外だったら絶対にあり得ないくらいのスピードである。座席については自動で進行方向に回せるようになっているが、グリーン車は2階建てになっていることもあり、それなりに座席数がある中での作業だ。
グリーン車導入のメリットとしては、かなりの確率で着席することができ、特に混雑時で確実に座りたい時に私自身も重宝している。また車内でどうしてもメール処理などノートパソコンで作業をしなければならない時などにおいても、大きなテーブルがあることで移動中に仕事を済ませることができるのも便利である。
実際に利用していて感じることは、やはり速達タイプの「中央特快」「青梅特快」といった特別快速の方が混んでいる傾向にあり、先日も中野から高尾方面の中央特快に乗車したが、かなり混み合っていた。
中央線では特急「あずさ」「かいじ」が走っており、こちらは全車指定席となっており、特急が停車する立川、八王子などへ向かう場合で確実に座りたい場合の選択肢にもなるが、快速列車の方が本数が多く、確実に着席したい人にとっては選択肢が増えたことは大きい。
正式導入から8カ月が経過したが、導入のメリットは徐々に出てきている。
(航空・旅行アナリスト、帝京大学非常勤講師)




