(写真左から)結城氏、似内社長、ホテル評論家の瀧澤氏、大谷副部長
オリックス・ホテルマネジメント株式会社(似内隆晃代表取締役)は12月4日、中長期滞在向けのライフスタイル・アパートメントホテルブランド「CROSS Suites(クロススイーツ)」を新たに立ち上げると発表した。第一号となる「クロススイーツ東京浅草」を2026年夏に開業する計画だ。
「暮らすように旅する」を提案
クロススイーツは、同社が展開する「CROSS HOTEL(クロスホテル)」「CROSS Life(クロスライフ)」のシスターブランドとして位置づけられる。中長期滞在を好む訪日客やグループ旅行者の増加を背景に、最大6名で宿泊可能な客室を備え、キッチンやランドリーを完備したアパートメントタイプのホテルとして展開する。
「クロススイーツ東京浅草」は既存ホテルをリノベーションし、78室のホテルとして生まれ変わる。客室は25平米から63平米までの9タイプで、平均42平米の広さとなる。同社セールス&マーケティング部副部長の大谷敏史氏は「観光庁の2024年年次報告書によると、訪日外国人の約6割が家族や友人のグループ旅行で、平均滞在日数も約7泊と中長期滞在のニーズが一定程度ある」と説明。「弊社は2010年から2025年8月までアパートメントホテルを15年以上運営し、85%超の稼働率を獲得してきた実績がある」と新ブランド立ち上げの背景を語った。
コンセプトは「Cross Paths, Share Stories」
クロススイーツのブランドプロミスは「Cross Paths, Share Stories」。「地域、文化、趣味、それぞれ違う歩みをしてきたゲストが集い、これからの物語を共有していく場所」を目指す。コンセプトとして「Live Life Local(地元流を楽しむ)」「Spark Encounters(刺激的な出会い)」「Initiative+(ポジティブなおせっかい)」の3つを掲げている。
特徴的なのは1階に設けられるラウンジ「Hang Out @CROSS Suites」だ。ゲスト同士が交流できるスペースとして、ボードゲームやモニターを設置し、大会やミニライブ、文化体験などの参加型イベントを定期的に開催する予定。「モーメントメーカーズ」と呼ばれるスタッフが、ゲスト間の交流を促進する。ブランディング担当の結城亜寿香氏は「地域に根差し、人とのつながりが豊富なハートフルで少しおせっかいなクルーとして、旅に刺激を与える存在になる」と語った。
「地域とのつながり」を重視
浅草という立地を活かし、1400年の歴史を持つ地域での体験を大切にする方針だ。館内には猫のアートウォールなど、江戸時代に招き猫発祥の地とされる浅草の歴史文化を反映したアートを配置する。
結城氏は「スタイリッシュでモダンな印象の内観の中に、浅草の地域性につながるものを隠している。これから名刺を持って地域の方にご挨拶回りをし、一緒に何かできないかお声掛けをしていきたい」と意欲を見せた。
レストランの設置はないが、地元の食事処を紹介したり、部屋のキッチンで自炊したりと、より地域に密着した滞在体験を提供する。説明会に招かれたホテル評論家の瀧澤信秋氏は「浅草には魅力的なグルメスポットがたくさんある。ホテル側からの案内があれば良い」とコメントした。
今後は年2件のペースで展開
オリックス・ホテルマネジメントの似内隆晃社長は今後の事業戦略について「客室1万室を目指して事業展開を進めている。期限は設けていないが、10年以内にこのくらいの規模に持っていきたいという目標で進んでいる」と述べた。クロススイーツについては「東京以外には大阪や京都といった観光需要が高いエリアで展開を予定している。年2件くらいのペースで新規出店していきたい」という。
オリックス・ホテルマネジメントは2020年4月に8社の運営会社を統合して設立。現在は全国に28施設、6,717室を運営しており、ホテルと旅館の両方を手がける特徴を持つ。5ブランド14施設を展開中で、今回の新ブランド立ち上げにより、中長期滞在型のアパートメントホテル市場にも参入する。
クロススイーツ東京浅草の予約開始は2026年2月を予定。宿泊料金は4万円から5万円を想定している。

(写真左から)結城氏、似内社長、ホテル評論家の瀧澤氏、大谷副部長




