【体験型観光が日本を変える403】旅行を促すのは所得向上 藤澤安良


 参院選は7月20日が投票日となった。観光業界にとっての争点は日本人が旅行に行ける所得の向上である。今月も数千品目の値上げが予定されている。日本人にとって物価高は深刻である。

 ハワイや赤道直下の国々よりも蒸し暑い日本は今、熱中症警戒アラートが発せられる中、それでもインバウンドは大量に押し寄せている。

 しかし、7月5日には漫画の影響もあってか、日本で巨大地震が起きるとして、風水や占いを信じる香港などの国からは日本への旅行控えやキャンセルが相次いだ。気にしない国の人には影響がなかったが、気象庁は異例の会見で科学的根拠はなくデマであると断じた。

 そんな中、鹿児島県十島村の悪石島ではこれまでに震度6弱を記録し、震度1以上の有感地震が千数百回にも及んでおり、一部島民の鹿児島市への避難が続いている。幸いけが人も倒壊家屋もなく、この地震がうわさの真相ではないはずである。奄美や南九州にも風評被害が起こりかねない。早く収まってほしいものである。

 さらに、経済界が注目するのはアメリカとの自動車を中心にした関税問題である。米国とは交渉というよりトランプ大統領の駆け引きで通告待ちの様相である。貿易とは、物々交換から始まった取引であり商売である。つまりは、売り手と買い手の双方が納得するウィンウィンの関係でなくてはならない。

 今までが不公平や不条理というのは筋違いで言いがかりである。アジアもアフリカも米国離れの流れができ始めている。日本も新たな市場開発が必要で、従来と違う幅広い選択肢を考える時である。

 私はこのところ、国内ではあるが1カ月に10回程度飛行機に乗っている。服装から見ると旅行客よりビジネス客が圧倒的に多い。平日に動ける中高年層の観光客がめっきり減っている。所得や先の不安はあるが、お金は生きているうちに使いたいとする人は多い。

 また、旅行会社が設定するツアーに参加してきたのも高齢者であった。しかし、定番や、在り来たり、何回も行っているところなど飽きられている。面白く楽しく感動する旅行が造られていない。

 私も高齢者といえどもラフティングもカヌーもしている。農林水産業や料理作り体験、伝統工芸等のものづくりもとても面白い。旅行会社の企画担当が新しい商材を探しているが、もっぱら見る観光や食事と宿泊施設に意識があり、体験プログラムには関心が薄い。売れる商品造りには、自らが現場に出向くなどの行動が不可欠である。

 しかし、現地に出向く時間がないなどと愚痴をこぼす。時間ではなくやる気の問題だと思う。そこで、地方は、地域ならではの特徴を生かした、体験交流プログラムと地産地消の作り手や捕り手が分かり鮮度の高い、当地でしか味わえない流通手前の食材で作った料理を提供するなど、今までにない商品を持ち込みセールスすることである。同時に地域に招き、実体験をして、新しい商品企画販売につなげてほしい。新鮮と進歩が地域の力と進化になる。

 
 
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