【テツ旅、バス旅 115】新型アセラ・エクスプレス 鎌倉 淳


 アメリカ、ワシントンD.C.のユニオン駅は、古代ローマ建築を思わせる、白亜の重厚な駅舎です。上層ホームには、アムトラック(全米旅客鉄道公社)の高速鉄道「アセラ・エクスプレス」が発着します。

 シルバーのステンレス無塗装の車体が特徴的で、前後に動力車を配置するプッシュプル式の8両編成。中間に6両の客車が連結されています。客室はビジネスクラスとファーストクラスのみで、日本でたとえれば全車グリーン車とプレミアムグリーン車という案配でしょうか。

 運行区間は、ワシントンを起点に、ニューヨークを経てボストンまで。いわゆる「北東回廊」と呼ばれる、アメリカ東海岸の中心部を縦走します。

 筆者が「アセラ」に初めて乗車したのは、10年以上前のことです。ワシントンからニューヨークまで、ビジネスクラスに乗りましたが、車内はゆったり。非常に快適でした。

 最高時速は150マイル(241キロ)なので、日本の整備新幹線並み。ただ、高速走行できる区間は限られていて、平均時速は140キロ程度と、日本の在来線特急より少し速い程度です。それでも、約360キロ離れたニューヨークに3時間弱で着きました。鉄道旅行としてはちょうどいい時間です。

 そのアセラに、新型車両が登場しました。名称は「ネクストゲン・アセラ」で、8月28日に運行を開始しています。

 新型アセラは、最高時速160マイル(256キロ)で、10マイルアップしました。新たな車体傾斜システムを導入し、カーブをスムーズに走行できるようになっています。これにより、平均速度の向上も見込めそうです。

 客車は9両となり、座席数が27%も増えました。座席には個別の電源コンセント、読書灯、ヘッドレストが備え付けられていて、Wi―Fiも完備です。

 カフェ車両も組み込んでいて、ワゴンサービスも提供します。日本の新幹線で失われてしまった供食設備が、アメリカでは新型車両でも維持されたわけです。採算面では厳しいと思われますが、供食は列車の基本サービスという認識があるからかもしれません。

 アメリカというと、鉄道不毛の地と想像される方も多いようですが、アセラは2000年に運行を開始して以来、利用者の人気を博し、東海岸に定着しました。新型車両も意欲的で、一度は乗ってみたいものです。

(旅行総合研究所タビリス代表)

 
 
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