【旅館ホテルのおもてなし 91】食中毒② 大谷 晃


〇黄色ブドウ球菌食中毒(毒素型)
 この菌が食品中で増殖する際にエンテロトキシン(耐熱性毒素)を放出し、食べることで食中毒が発症します。黄色ブドウ球菌そのものは自然界に広く分布し、80度で30分加熱すれば死んでしまいますが、エンテロトキシンは100度で30分加熱しても生きています。傷のある手で食品を触ると、黄色ブドウ球菌が食品に移り、感染を引き起こすことがあります。

 発生多発時期:通年
 潜伏期間:3時間ほど
 主な症状:腹痛、発熱、激しい嘔吐(おうと)、下痢
 予防策:手や指に切り傷や化膿傷のある人は食品に触らない、調理をしない。手指の洗浄、消毒を徹底する。食品は10度以下で保存

 〇ボツリヌス菌食中毒(毒素型)
 ボツリヌス菌は人や動物の腸管の中や土の中に棲みつき、そこから毒素が生産されます。タイプとしてA型からG型まであります。このうち人が食中毒を引き起こすのは、A、B、E、Fの4種類とされます。熱に弱く、100度で4分加熱することでほとんど不活性化されます。

 発生多発時期:通年 
 潜伏期間:8~36時間
 主な症状:嘔吐、視力障害、言語障害などの神経障害。重症化すると呼吸まひが起き、死亡に至ることもある
 予防策:真空パックや缶詰の食品は、容器が膨張していたり食品に異臭がある場合はけっして食べない。缶詰、瓶詰、真空包装食品などの保存食品を調理する場合は衛生的原材料を使用する

  *    *
 ■日本ホテルレストラン経営研究所=ホスピタリティ業界(旅館、ホテル、レストラン、ブライダル、観光、介護)の人材育成と国際交流へ貢献することを目的とするNPO法人。同研究所の大谷晃理事長、鈴木はるみ上席研究員が監修する書籍「『旅館ホテル』のおもてなし」が星雲社から発売中。問い合わせは同社TEL03(3868)3275。

=隔週掲載

 
 
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