弘前で人気「パティシェのりんごスティック」
10~12月はリンゴの季節。青森県や長野県、岩手県などリンゴの産地は収穫に忙しい。とりわけ全国生産の6割を占める青森県の弘前市はかつて津軽藩の城下町。今は日本一の“りんごの街”で知られている。
リンゴを使ったアップルパイの店が増えて40軒余を数える。市では店名・住所・電話番号と商品写真に甘味・酸味などのコメントを付けた「アップルガイドマップ」を配布している。
ご存じのようにアップルパイは、パイ生地に砂糖で煮たリンゴをのせてオーブンで焼いた欧米で定番の焼き菓子。バター風味いっぱいの小麦粉生地のサクサク感と、甘酸っぱいリンゴのシャキシャキ感が魅力だが、姿、形、味わいは店によってそれぞれ特徴がある。
中で評判の一つが城東中央のボンジュール。ここのアップルパイは酸味がほどよくきいた、しっとり煮詰めたリンゴとパイのサクサク感のハーモニーが絶妙でファンが多い。
中心街では弘前城近くの百石町に本店を構える創業140年余のラグノオささき。和菓子で始まる老舗だが、進取の気風に富み、1987年、リンゴを丸ごとパイ地で包み焼き上げた「気になるリンゴ」というネーミングのアップルパイを製造販売している。

ラグノオささき百石町本店
層状のバター風味のパイ生地と生の食感を残すリンゴが思いのほかしっくりフィット。発売後ほどなく全国菓子大博覧会で金賞受賞やテレビ番組のグランプリ受賞で大ブレイク。年に45万個売れたこともある。
少しあとに発売した「パティシェのりんごスティック」も評判よく、県を代表するスイーツになった。

弘前で人気「パティシェのりんごスティック」
これは県産リンゴのシロップ漬けを大きめにカットしてスポンジ生地と一緒にパイで包んで焼き上げたという。
細長いスティック状だから食べやすく、シャキシャキの果肉からにじむほのかな甘酸っぱさが生地に混じってたいへんおいしい。オーブントースターで軽く温めると焼きたての食感がよみがえる。
弘前は城郭、武家屋敷、寺社の古い町並みの中に教会、銀行、住宅などの洋館がしっくりたたずむ町。アップルパイもしっとりなじんでいる。
(紀行作家)
【メモ】「気になるリンゴ」1個税込み1400円。「パティシェのりんごスティック」1箱5個入り税込み1250円=ラグノオささき弘前百石町本店(0172・33・2122)。取り寄せ可。




