宿泊業における「キャンセル対応」は、もはや単なるオペレーションではなく、売り上げに直結する重要な経営課題です。
たとえば最近、中国のSNSで「7月に日本で大地震が起きる」といった根拠のない噂が拡散され、多くの訪日旅行予約がキャンセルされました。こうした風評リスクが拡大する現代において、求められるのは「迅速な情報発信」と「再販による収益最大化戦略」です。
まず欠かせないのが、正確かつ安心感のある情報の即時発信です。気象庁や観光庁の公的情報をもとに、公式サイトやSNSで冷静かつ簡潔に状況を伝えることで、不安を抱えた顧客の離脱を防げます。「何も発信しない」ことは、顧客の不安を助長するという意識が必要です。
次に重要なのは、”スピード再販”の体制構築です。多くの施設では、直前の空室を「売れ残り」としてしまいがちですが、ここが勝負の分かれ目です。
・自社予約サイト・OTA・SNSとの連携強化
・空室発生時の自動再販システム
・LINEやメルマガで直前告知・即予約を促進
これだけでも、キャンセル在庫の30~50%が再販できたという事例があります。
さらに注目すべきは、リピーターや会員向けの「限定再販施策」です。たとえば、「直前特価」や「48時間限定プラン」
「再販専用ページ」やクーポンとの併用は、「今泊まりたい層」にしっかり刺さる販促手段です。空室が出たタイミングでファン層に即通知するだけで、成約率とリピーター育成が同時に実現できます。
再販戦略と並行して強化したいのが、キャンセル料の適切な徴収体制です。「わきざしクラウド」のようなツールを活用すれば、事前決済と規約同意によるリスク軽減、キャンセル料の自動計算と請求、スタッフの手間や顧客トラブル削減など、業務効率と収益を両立できます。
今やキャンセルは”起こって当然”の時代。だからこそ、それを「損失」ではなく「収益チャンス」として捉える発想が鍵です。対応が甘ければ、年間100万円以上の損失にもなり得ます。逆に、再販体制・キャンセル徴収・情報発信の三位一体を整えれば、「売り上げ回復×顧客信頼×オペレーション効率化」という”三重の効果”が生まれます。
風評も直前キャンセルも、「備え」と「仕組み」で利益に変えていきましょう。
(株式会社プライムコンセプト 小林義道)=隔週掲載




