【交通トレンド分析311】松本駅到着時の「まつもとー」のアナウンスが11月16日で終了 鳥海高太朗


鳥海氏

 久しぶりに長野県の松本へ11月9日に行く機会があったが、知る人ぞ知る存在だったのが、JR松本駅到着時に、ドアが開く瞬間に流れる女性の声での名物アナウンス。「まつもとー、まつもとー、まつもとー」と3回連呼するのを聞くことができた。

 これを聞くことで松本駅に到着したことを実感することができるが、実は今年11月16日(日)の最終列車をもって、約40年間にわたって、この独特のアナウンスが終了することになってしまったのだ。

 理由は放送機器の更新とのことだが、各メディアでの報道によると、まだ国鉄時代だった約40年前に到着時の音声を自動音声化するにあたり、この独特のアナウンスが導入されたとのことで、この声の主である声優の女性が最近松本駅を訪れたことが話題となっていた。一度聞いたら頭から離れない声とトーンであり、まさに昭和の最後から平成、そして令和7年まで続いた松本の歴史にも刻まれるべき遺産である。

 松本駅は、新宿駅からの特急「あずさ」、名古屋駅と長野駅を結ぶ特急「しなの」が停車するターミナル駅になっている。長野駅は北陸新幹線が走っているが、松本駅は在来線のみで、新幹線の駅では似合わないアナウンスも、在来線だと令和の時代でも「昭和レトロ」として十分に通用するアナウンスだと思う。

 松本市には国宝松本城や、国宝旧開智学校校舎など歴史的建造物も立ち並ぶが、松本駅から松本城へ向かう途中にある「中町通り」などには、長屋造りの建物に飲食店やカフェなどが並んでおり、最近の人気旅行先のトレンドにもなっている「レトロとモダンの融合」であり、街を歩いていても外国人観光客の姿も多く見られる城下町である。

 松本駅前は居酒屋なども多くあり、信州サーモンやイワナ、松本のB級グルメである「山賊焼き」などが食べられるほか、カフェ巡りも楽しい場所である。

 また、白馬や上高地などへ向かう外国人にとっては松本が玄関口であるほか、松本からは白骨温泉や浅間温泉、美ヶ原温泉などの温泉もあるなど、見所もたくさんある。まだ足を運べていないが、浅間温泉の「松本十帖」にあるブックホテル「松本本箱」「小柳」という二つのホテルは一度訪れてみたい場所だ。

 2026年、新たなブレイクする観光地になる可能性も秘めている松本であるが、「まつもとー、まつもとー、まつもとー」のアナウンスがこれから聞けなくなってしまうのは少し寂しい。またいつか復刻版のアナウンスが登場する日を心待ちにしたいと思う。

(航空・旅行アナリスト、帝京大学非常勤講師)

 
 
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