【体験型観光が日本を変える394】万博におけるおもてなし 藤澤安良


ゴールデンウイークに突入する前日の金曜日に大阪・関西万博に行った。大阪をはじめとする関西地方の中高生の校外学習や修学旅行の生徒も目立ち盛況である。

 地下鉄・夢洲駅前は東ゲート前であり、時間予約制で待っている人で長蛇の列。並ばない万博を売りにしているが、入り口から並ぶはめになった。しかし、少しずつ前に進んでいることから苦痛とまではいかない。広いゲート前で30分以上入場にかかったが、それでもゲート前広場の約3分の1程度である。

 駅出口からゲートまでは1~2分の距離なのに迷路のようにぐるぐると不必要なくらいに回らされ、10倍以上の距離を歩かされることになる。この方法はテーマパークでも空港の検査ゲート前でも同じである。

 最大人数の仕切り方ではなく、変化する客の人数に応じて、最短距離に変えるべきである。突っ立っているだけの係員が臨機応変に変更対応すべきである。みんな諦めてそんなものだと慣らされてしまっているが、おもてなしとはそこまでやって当たり前である。

 手荷物検査の後、QRコードを機械にかざして入場すると、近くに木造の大屋根リングがそびえている。上から会場を見渡すとその広さに驚く。リングの直径の反対側は遠くかすんで人が豆粒のようである。会場を回るモチベーションが下がる広さである。

 人気パビリオンの予約は取れなかったので、30~40分程度並んで外国のパビリオンを中心に数カ所入った。月や火星の石は見なかったが、ほとんどの展示がSDGsを意識した環境問題などがテーマで映像とパネル展示である。事前に学習していくと理解が深まる機会になるが、そこそこその分野を理解していると感動するまでにはいかなかった。

 もちろん事前予約をして日本の企業が出展するパビリオンに行けば印象は大きく変わると思うので、周到な準備をして出掛けてほしい。
 記念のオリジナルグッズや土産の菓子類も割高に感じる。私はお金持ちやインバウンドの感覚とは違うかもしれない。仕組みや背景から理解しているつもりだが、入場者数の多さで成り立つ商売である。

 西口ゲートから東ゲートへは外周バスを利用するが、バス停で電子決済したのに待ち時間も長く、バスは小さくて定員も少なく、運賃も割高で、空いているのに何も言わずに通り過ぎるバスを3台見送った。決済人数に合わせてバスが配車され運行されるシステムでなければ未来ではない。

 バス停の精算案内スタッフも、自動運転なのに運転席にいる運転手も車掌役のスタッフも、客の不満が伝わっているのか言葉遣いが荒く、少なく、説明が足りない。このシステムは現在はうまくいっていない。

 開業日は1年以上前から分かっており、始まったばかりだからという言い訳は通じない。「そのうち慣れるだろう」ではなく、接客接遇の志の問題である。笑顔で親切で明るい近くのUSJのスタッフと比較されることになる。巨費を掛けた立派な施設も仕組みも、AIが普及しても、やっぱり人あってこそ生きるのである。

 
 
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