(14)スキマバイト(続き)
前回述べたように、スキマバイトは「人手が足りない」と見込まれる時に、その場ですぐにアルバイト人材を確保できる、まことに便利なシステムだ。「繁閑に応じた人件費の変動費化」といった観点でも、意図にかなっている。
一般に、利用回数が増えるにつれて「リピート人材」が多くなってくる。これは好ましいことで、2度目からは仕事のやり方を説明する手間が省けるし、回を重ねるごとに熟練度も高まってくる。また互いに気心も知れて安心できるようになる。だが、ここにこそ注意すべき落とし穴がある。
(ⅴ)常習性に注意
便利で都合の良い仕
組みであるがゆえに、「利用中毒」に陥る可能性をはらむ。手軽に不足を補えるからといって、野放図に使っているとたいへんなことになる。
手配にあたる現場管理者やシフトコントローラーの意識は、ともすれば「その日を回す」ことだけに向けられがちだ。今は多くの旅館が慢性的な人手不足状態にあるため、気を付けないと、年がら年中スキマバイトに頼ることになる。だが前述のように、その費用は通常時給の1・3倍だ。気が付いたら人件費が大幅に増えていた、ということにもなりかねない。派遣労働者や「配膳会」の利用には、それなりの注意が払われていると思うが、スキマバイトに関しては、まだそのあたりの統制が甘い可能性がある。だからこれの利用については、しかるべき運用ルール(手配基準や承認手続きなど)を定めること、スキマバイトの「延べ利用人時」を週単位か月単位で集計し、そこから人件費の正味増加額を割り出してチェックすることをおすすめする。さらに、もしそれがほぼ毎日のことであるならば、根本的な対策として、常雇人材の採用にあらためて力を入れるべきであろう。スキマバイトで間に合っているがゆえに、そのことが置き去りにならないようにしたい。
(15)プラチナバイト
世間相場をはるかに上回る高い時給で雇い入れるアルバイト。昨年夏、那須高原のある遊園地が導入して話題になった。「プラチナ」とは、高い時給、またそれに値する優秀な人材の意味を重ねていると思うが、じつに魅力的なネーミングだ。
時給2500円。ピークの1週間余りに限った募集だったが、その結果、「8月に本制度を導入した各店舗は、売り上げが昨年度比で最大296%向上(この会社のHPより)」。さらに「プラチナバイトから当社に正社員として参画した方も現れるなど、素晴らしい結果(同)」を生んだという。
同社では今年度、「土日祝日・通年」に範囲を広げて募集を再開した。さらに「プラチナバイトトライアル」と銘打ち、3カ月の試用期間(時給は通常)を経て適格者を登用する制度も開始した。
それでなくても「うなぎ登り」の時給相場。「そんなに上げてどうするんだ?」と思われる向きもあるだろうが、ものは考えようだ。これまで何をやっても応募がない、部屋もお客さまもあるのに、人手不足のために営業を縮小せざるを得ない、というようなところでは、いっそこのようなやり方で「売り手市場」の労働力を「買い手市場」に変え、有能な人材の獲得によって高い成果を上げる手もある。
(リョケン代表取締役社長)




