万博による地域への経済波及効果 2012年の開催地・韓国麗水市のキム・サンウク観光課長に聞く


韓国 麗水市のキム・サンウク観光課長

韓国 麗水市のキム・サンウク観光課長

 韓国南部、全羅南道の麗水(ヨス)市は2012年、国際博覧会(万博)が開催された同国の主要都市の一つであり、観光資源も豊富だ。大阪・関西万博よりもひと足早く開催された万博は、市の経済にどのような影響をもたらしたのか。麗水市のキム・サンウク観光課長に話を伺った。

多くの生産、所得、雇用を誘発

 ――麗水市の概要について。主な産業や観光資源、その他、市の特徴、魅力について伺いたい。

 麗水は陸地と海が”共存”する都市。麗水半島と365の島、そして五つの湾など多彩な特性を持つ、韓国の南海岸と南中圏を代表する持続可能で国際的な海洋都市だ。

 73万7千平方キロと、国内最大の石油化学産業団地である麗水国家産業団地をはじめ、未来の新素材、エネルギー物流関係の特区、産業団地など、成長への強い動力がある躍動的な都市だ。

 主な観光資源は、ツバキの花で有名な「梧桐島(オドンド)」、夜の海、岩山に建つ寺院「向日庵(ヒャンイラム)」、海上ケーブルカー(ロープウェイ)など。これらを含めた、麗水の歴史と特長をよく表現している「10景」がある。

 梧桐島、金鰲島(クモド)、巨文島(コムンド)など、365の島ごとの特長も鮮明で、それぞれに楽しみ方がある。来年開催される「2026麗水世界島博覧会」を契機に、これら麗水の島の魅力を満喫していただきたい。

 ――麗水市の年間観光客数と、そのうちの日本人の占める割合は。

 2024年1年間の麗水を訪問した外国人観光客は約50万人で、日本からは約1万3千人が訪問したと集計されている。

 ――現在取り組んでいる市の観光振興策は。

 このほど、「2035観光総合発展計画」を作成し、今後10年間の、これらビジョンを具体化する取り組みを始めた。市の東部圏に集中している観光インフラを西部圏に広げ、見どころ、楽しみどころをさらに増やしていく。

 麗水は夜の海の美しさで名高い都市だ。最近は「夜間観光特化都市」に選ばれ、「ツバキのムービーナイト」「キャンドルナイト公演」など、夜に楽しめる多様な夜間観光事業を推進中だ。また、巨文島をさらに魅力的な観光地にしようと育成をしている。

 ――2012年に開催された万博について。市の経済にどのような影響をもたらしたか。

 博覧会の開催は、地域に大きな経済波及効果を確実にもたらした。事業体数、事業体からの税収が増加し、特に観光関連の業種である飲食店と宿泊業の増加が際立った。

 経済波及効果について、分析結果を見ると、麗水地域内の生産誘発8兆5783億ウォン(1ウォン=約0・1円)、付加価値誘発2兆9996億ウォン、所得誘発1兆5863億ウォン、雇用誘発5万3512人。

 麗水地域内で発生した観光部門の経済波及効果も、生産誘発3兆8097億ウォン、付加価値誘発1兆3701億ウォン、所得誘発6507億ウォン、雇用誘発2万5313人などが分析されている。

来年の「島博」でさらに飛躍を

 ――2026麗水世界島博覧会の概要を。

 「島、海と未来をつなぐ」をテーマに開かれる国際イベント。来年9月5日から11月4日までの2カ月間、突山鎮母(トルザンジンモ)地区と麗水世界博覧会場、蓋島(ケド)、金鰲島などの島一帯で開催される。

 島は産業、文化など、さまざまな面で無限の可能性を秘めているが、これら島の価値を再発見し、世界の人々の共感を形成しようというのが博覧会の目的だ。

 メイン会場である突山鎮母地区の八つの展示館と、他の島々などで島関連の展示、学術行事、各種文化公演が行われる。

 ――博覧会への期待は。

 先ほどお話ししたように、島博覧会のテーマは「島、海と未来をつなぐ」。ここでの「未来」とは、単なる時間的な概念ではなく、自然と人が共存する、持続可能な発展を意味する。

 環境面では、海洋資源の持続的な活用、生態保存、気候変動への解決策をここで見いだす。

 文化面では島固有の伝統文化と精神、経済・技術面では海洋エネルギー、海上交通、AI・ドローンなど未来の技術をここで示すものだ。

 島の住民には所得創出、生活の質の向上の機会となり、市全体としては麗水が世界的な島海洋観光の中心地に飛躍するものと期待している。

 国家的には島のインフラ開発を通して国家を均等な発展へと導き、世界的には気候変動への対応や、島の活用においてグローバルな連携を図ることが究極の目標といえる。

 ――世界の国々の参加は。

 組織委員会は30カ国の参加を目指している。参加国の誘致は博覧会の国際的地位を高めるための核心課題といえる。アジア、ヨーロッパ、アメリカなど、地域やコンテンツのバランスも考慮して、誘致活動を進めている。

 今年3月の32カ国の駐韓外国公館長を招待するファムツアーを皮切りに、国内外の国際行事などを通して活発な誘致活動を展開している。

 その結果、現在までにフランス、ギリシャ、フィリピン、中国、ペルー、セネガル、パラオの参加が確定しており、インドなど21カ国、そしてさまざまな国際機関と現在、参加に向けて協議中だ。

 接触している国と機関の大部分が参加に肯定的であり、30カ国の誘致目標は無難に達成すると予測している。

 ――日本人観光客を送る日本の旅行業者に向けてメッセージを。

 麗水は暖かく美しい。そしてそれ以上の無限の可能性を秘めた海洋都市だ。

 2012年麗水世界博覧会を契機に優良な交通インフラと会議施設、宿泊施設を確保し、「麗水の夜の海」というブランドもあり、毎年1300万人以上の観光客が訪れる、名実共に韓国を代表する観光都市となった。

 市は観光団体とMICE団体のために、韓国では最高のインセンティブ支援制度を設けている。

 麗水のMICE産業は急成長しており、市では毎年1300余件の行事が開かれている。このほど、政府の「予備国際会議地区」に選ばれるなど、そのさらなる発展の可能性が対外的にも認められている。多くの関心を寄せていただくようお願いしたい。

 麗水は見どころ、楽しみどころが多様な観光都市として、日本の皆さまを歓迎します。

【聞き手・森田淳】

韓国 麗水市のキム・サンウク観光課長
韓国 麗水市のキム・サンウク観光課長

 
 
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