旅行決定は感情とAIの時代に 動画が最も効果的 エクスペディアが調査


 エクスペディア・グループは10月29日、旅行コンテンツが予約に与える影響を分析した調査「Science of Wanderlust」の結果を発表した。同調査によると、旅行者の71%が動画コンテンツが旅行の意思決定に影響を与えたと回答し、静止画(24%)を大きく上回った。旅行者の感情を動かすコンテンツ要素を解明。AI時代の旅行マーケティングの方向性を示した内容だ。

旅行者の意思決定に影響する6つの要素

 調査では、旅行者が旅行関連コンテンツにどう反応し、旅の意思決定を促す感情的なきっかけを生む要素として、以下6点が特定された。

 まず最も影響力が強いのは動画コンテンツ。特に長尺の動画は感情的な反応を引き出す傾向が強い。2点目は信頼性で、「透明性」(52%)、「明確さと自信」(46%)、「本物らしさ」(45%)が信頼を感じるトーンとして挙げられた。

 3点目はストーリー性。冒頭・中盤・締めくくりが明確な構成のコンテンツは関心を高める。4点目は映像のテンポで、2~9秒のシーンが画像や情報を最も効果的に理解できる長さと判明した。

 5点目はAIと人の連携。回答者の41%が「AI生成コンテンツは有用だが、人の関与が必要」と回答。6点目は多様性と共感で、自分が反映されていると感じるコンテンツが記憶に残りやすい傾向がある。

日本市場の特徴的な8つのコンテンツ傾向

 日本市場では独自の傾向も明らかになった。情報源としてオンライン旅行サイト(65%)や動画コンテンツ(45%)を活用する傾向がグローバル平均を上回る。「本物らしさ」がブランド信頼につながるとの回答は50%に達した。

 過去6か月以内に見た旅行コンテンツが旅行予約のきっかけになったと感じた割合は62%で、他国平均(55%)を上回る。スポンサー記事(45%)、ガイドブック(45%)、静止画(33%)も意思決定に影響している。

 また、自然の風景、郷土料理・屋台料理、歴史的建造物などを扱ったコンテンツが旅行のきっかけになりやすく、リラックス感(51%)、信頼感(42%)、感情的な訴求(30%)を含むコンテンツが特に好まれる傾向にある。

 AI生成コンテンツについては、46%が「AI生成広告を見たことがない」、8%が「何か分からない」と回答した一方、23%は「内容が有益であれば作成者は問わない」とする柔軟な姿勢も示された。

世代別・旅行者タイプ別の嗜好

 調査では世代による違いも明らかになった。若年層は動画やインフルエンサーのコンテンツに共感しやすい傾向がある一方、X世代やベビーブーマー世代はブランドメッセージやスポンサー記事、ガイドブックにより関心を示す。

 旅行者の好む旅行スタイルによっても傾向が異なる。「ビーチ派」は美しい景観やプール、スパの映像、穏やかなトーンに惹かれ、「テーマパーク派」は短尺動画やSNSの影響を受けやすい。「アドベンチャー派」はAIに慎重でYouTubeコンテンツに影響を受け、「都市型旅行派」は長尺動画や食に関するコンテンツに強く関心を持つ。「文化体験派」は意外性のあるコンテンツを好み、「ラグジュアリー派」はAIコンテンツに抵抗が少ない傾向がある。

 エクスペディア・グループ・アドバタイジングのシニア・バイス・プレジデント、ロブ・トレス氏は「旅行者の関心を引き、予約につなげるには、どのようなコンテンツが有効なのかを理解することが、旅行業界にとって重要です。本調査では、動画の影響力やAIと人の連携の必要性など、6つの主要な要素が明らかになりました。これらの知見は、信頼を築き、行動を促すコンテンツ設計の指針となるでしょう」とコメントしている。

 調査は2025年7月のEG Labsによる独自テストと、2025年8月にCensuswideとの共同で実施された7か国7,000人を対象とした調査結果に基づいている。

 
 
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