【口福のおすそわけ 570】憧れの「せいろ」ライフ♪ その後! 竹内美樹


 昨秋、ブームになっているとは知らずに「せいろ」を購入したのは既報の通り。その際、お湯を沸かす鍋でスープなど1品+上のせいろ2段を駆使し、一度に数品調理しちゃうせいろ上級者を目指すと宣言したが、残念ながらそこには至っていない。けれど、せいろの登場回数は多い。材料を並べて蒸すだけで手間なしだし、蒸し料理は、ゆでたり煮たりするのと違い、水溶性の栄養素やうまみが流出せず、炒め物や揚げ物のように油を使わないのでヘルシーだからだ。

 唐突だが、最近はやりの「アルモンデ」ってご存じだろうか? 何となくイタリア語っぽい響きだが、改めて食材を買わず家に「あるもので」料理を楽しむという意味の造語だ。物価の高騰で食品の相次ぐ値上げが始まった2022年ごろから、節約になると話題に。冷蔵庫や冷凍庫で眠っている食材が使えるせいろ蒸しも、「アルモンデ」だ。

 定番は、葉物野菜と豚バラ肉の重ね蒸し。ミルフィーユ鍋のように、葉物野菜と肉を立てて並べ、綺麗な層にしなくても、平らに重ねるだけで美味。葉物以外に、ジャガイモやキノコでも何でもOKだから、「アルモンデ」にはピッタリ!

 最近は、鶏ひき肉にみじん切りのエノキタケを入れ、味を付け団子状にし、レタスで包んで蒸すのがお気に入り。エノキタケにはネバネバ成分「ムコ多糖類」が含まれているため肉汁を包み込んで逃がさず、また元来エノキ自体水分が多いので、団子がふんわりジューシーに仕上がる。

 もう一つは、ライスペーパー。蒸すとチュルチュルのモチモチになってビックリ! シュウマイやギョーザの皮は、わざわざ買う必要があるが、わが家はライスペーパーを常備しているし、生春巻きを作ると大抵皮が余るので、使い切りに便利。シュウマイやエビ蒸しギョーザはモチロン、香港飲茶の点心代表選手「腸粉(チョンファン)」モドキまで作れる。エビやチャーシューなどの具を包んでしょうゆベースのタレをかけた、プルンとした春巻のような料理だ。家で腸粉が作れるなんて、うれし過ぎる♪

 さらに、大好物のパスタがせいろで作れるのは驚いた。事前に1~2時間水に漬けたパスタを調味料とともに蒸せば、パスタの太さにもよるが、わずか数分で生パスタのようなもっちり食感に大変身。ベリウマ♪

 実は、ネットで購入した初せいろ、届いたら内側が変形していたのだが、天然素材ゆえ仕方ないかな?と。でも、このまま使って大丈夫か尋ねたいと、思い切って画像を添付しメールをお送りしたところ、何と、返礼メールと代替品をご送付下さったのだ。変形部分でケガをなさらないようにと案ずる文面に、ほんわりと湯気をまとったせいろ同様、心が温まった。

 せいろ蒸しって、可能性は無限大だが、空蒸しなど初めの一歩は敷居が高い。けれどこの件で、商品を購入した店「かごや」のスタッフの方に背中を押していただけた。あれからもうすぐ1年。せいろマスターを目指して頑張るぞ!

 ※宿泊料飲施設ジャーナリスト。数多くの取材経験を生かし、旅館・ホテル、レストランのプロデュースやメニュー開発、ホスピタリティ研修なども手掛ける。

 
 
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