【口福のおすそわけ 571】燻製調味料で、おいしくなぁ~れ♪ 竹内美樹


 妹から「コレ、お土産」と手渡されたのは、何やら調味料らしきボトルたち。ラベルには「軽井沢いぶる」の文字が。いぶるって「いぶりがっこ」の「燻(いぶ)る」、つまり燻製(くんせい)だ。ボトルの正体は、燻製調味料たちであった。

 燻製調味料というモノが世に注目されるようになったのは、日本野菜ソムリエ協会主催の「調味料選手権2021」で、やすもと醤油(しょうゆ)の「くんせいナッツドレッシング」が総合1位、ドレッシング部門最優秀賞を獲得したのがキッカケ。その際惜しくも総合2位にとどまった「アウトドアスパイスほりにし」を開発したOrangeアウトドアショップが、自分たちの得意分野である燻製の商品に負けるなんて!と奮起。燻製バージョン「アウトドアスパイスほりにしブラック」が誕生し、翌年開催された「調味料選手権2022」で見事総合1位、スパイス部門最優秀賞を獲得、テレビの情報番組などで話題に。

 普通のたくあんはあまり得意じゃないけど、いぶりがっこだとお酒のアテにいいな♪と思っちゃうのは、燻製という調理法の成せる業だろう。スモーキーな香りと、燻すことで生まれる凝縮されたうまみで、食材がグンとおいしくなる。

 話を戻そう。燻製には、80~140度の高温で10分~1時間程度燻す熱燻、30~80度で数時間~1日程度燻す温燻、15~30度の低温で長時間燻す冷燻の三つの方法がある。燻製品製造販売を手掛ける株式会社軽井沢いぶるでは、冷燻法を採用。この方法はスモーカー内の温度を低く保たねばならず、年間を通して気温が低い軽井沢だからこそ可能な手法とも言える。

 それぞれ、どんな味わいなのか? まずは燻製しょうゆ。国産原材料と天然水を杉だるで1年熟成させたしょうゆを、低温で2日間燻製しているそうだ。ボトルのふたを開けた途端、深い薫香が立ち上ってくる。味は、まろやかさの中に力強さもあり、だし入りしょうゆかと思うほど濃厚なうまみがある。

 燻製オリーブオイルは、その豊かな風味に圧倒される。スペイン産の最高級エクストラヴァージンオリーブオイルを使い、その果実味を生かしつつ、華やかな薫香をまとわせた。どんな食材や料理にかけても超美味♪魔法の一滴だ。

 そして燻製仕上げだし。杉だる1年熟成のしょうゆに、国産カツオ節・日高産昆布・岩手県産シイタケのだしを合わせ、低温燻製。カツオ節のイノシン酸、昆布のグルタミン酸、しいたけのグアニル酸と、三つのうまみ成分の相乗効果に燻製をプラスしたら、ウマいに決まってる! やや甘く仕上げており、優しい味。

 フランス産岩塩を低温燻製した燻製岩塩は、塩味に角がなくまろやか。食材のうまみを引き出せるよう、あえて燻製感は優しくしているそう。スモーカー内の煙を滞留させず、常に新鮮な煙を循環させているため、古い煙のえぐみや苦味、酸味が出ないという。

 クラフトマンシップにあふれた燻製調味料、いろいろな食材や料理に試してみたい。どう変身するか、楽しみだ。おいしくなぁ~れ♪

 ※宿泊料飲施設ジャーナリスト。数多くの取材経験を生かし、旅館・ホテル、レストランのプロデュースやメニュー開発、ホスピタリティ研修なども手掛ける。

 
 
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