運輸総研、地域交通制度の革新を首相に要請


(写真左から)両備グループ 小嶋光信代表、石破茂内閣総理大臣、 運輸総合研究所 宿利正史会長、同 城福健陽特任研究員

地域交通を「公共財」と位置づけ法整備を求める

 運輸総合研究所は10月9日、石破茂内閣総理大臣に「地域交通制度の革新の実行を求める要請」を提出した。要請は今年6月に公表した緊急提言「地域交通制度の革新案」の早期立法化を求めるもので、首相官邸で行われた提出の場には、同研究所の宿利正史会長、両備グループの小嶋光信代表、城福健陽特任研究員が出席。石破首相に要請文と緊急提言を手交し、必要性について説明した。

「支援」から「委託への対価」へ転換求める

 今回の要請は、9月22日に中野洋昌国土交通大臣へ行った要請に続くもので、緊急提言の早期立法化を目指している。緊急提言では、地域交通を「公共財であり社会資本」と位置づけ、現行の競争を前提とする制度から共創・協調型への転換を求めている。

 提言では特に、地域交通の確保責任主体を自治体とすること、国・自治体の公的負担の根拠を「支援(補助)」ではなく「委託への対価」とすること、道路を活用した人の輸送サービスを継続的に提供する事業を全て「自動車交通事業(仮称)」としてシンプルで明快な事業制度に再整理することなど、計27項目の革新案を提示している。

 要請文では、地域交通の現状について「交通事業者の経営悪化は長期化しており、運転士等不足は今後一層深刻化し、負のスパイラルに陥っている」と指摘。2023年度には約2500キロものバス路線が廃止されるなど、地域交通事業の存立自体が困難な状況にあるとしている。

 同研究所によると、コロナ禍の影響で移動需要は以前の水準に戻らず、この状況が地域交通の危機にさらに追い打ちをかけているという。現行の法律・予算措置等の地域交通制度による対応は限界に達しており、抜本的な革新が喫緊に必要だと主張している。

 運輸総合研究所は、同提言の取りまとめに当たって、約3年間にわたり交通事業者、有識者、行政関係者と議論を重ねてきた。要請文には、同研究所の宿利会長をはじめ、関西大学経済学部教授、広島電鉄社長、両備グループ代表など8名の連名で署名がなされている。

 運輸総合研究所では今後も、法改正を含めた地域交通制度の革新が早期に実現するよう、関係各方面に働きかけを続ける方針だ。要請は「次期通常国会において、この緊急提言の具体化・実現のための立法化」を求めている。

 同研究所によれば、地域公共交通総合研究所が2月に行った「公共交通経営実態調査」では、経営を圧迫する要因として燃料高騰問題(22%)、人手不足問題(18%)、人件費高騰問題(12%)、利用者減少問題(12%)などが挙げられ、行政支援や制度改善への期待も高いことが示されている。

 要請文の提出の様子を捉えた写真では、両備グループの小嶋代表、石破首相、運輸総合研究所の宿利会長、城福特任研究員の4名が並ぶ姿が確認できる。

 なお、運輸総合研究所は日本財団の助成を受けて活動を行っている。

(写真左から)両備グループ 小嶋光信代表、石破茂内閣総理大臣、運輸総合研究所 宿利正史会長、同 城福健陽特任研究員

 

 
 
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