【専門紙誌5社共同企画】各紙誌の視点で見る「若者による地方創生」 東京交通新聞 若者流入で街が活性化 タクシーも積極的に人材活用


流山タクシーの乗務員、小金谷さん(右)と権守さん(中央)。やる気満々の様子。左は荒井所長(9月9日、千葉県流山市)

 東京・秋葉原と茨城県つくば市を結ぶ、つくばエクスプレス(TX、首都圏新都市鉄道)は、2005年8月24日の開業から丸20年を迎えた。沿線の自治体は都心へのアクセスが格段に向上し、目覚ましい発展を遂げた。特に千葉県流山市は全国屈指の人口増加率を誇り、TX開業前の約15万人が現在、4割増の21万人規模に拡大している。若いファミリー層の流入が増え、人口構成比では30代がボリュームゾーンを形成する。若い力が街を盛り上げている。

 流山市は県北西部に位置し、江戸川を挟んで埼玉の三郷、吉川の両市と隣接する。鉄道はTXのほか、JR武蔵野線と東武野田線、流鉄流山線が通り、武蔵野線・南流山駅、野田線・流山おおたかの森駅でTXと接続する。東京都心まで約20分。通勤する人のベッドタウンとして栄える。

 大型ショッピングセンターがある流山おおたかの森駅が、街の拠点となっている。駅名は、付近の森にオオタカ(大鷹)が生息していたことに由来する。市のテーマは「都心から一番近い森のまち」。「市制施行以来、団塊の世代が一番多かったが、子育てや教育環境の充実に力を注いできた結果、特に子育て世代に選ばれる街となった。子どもが増え、若々しい活気に満ちている」と自信を見せる。
      ◇
 地元のタクシー会社はこうした機運を生かし、若年層の乗務員採用を積極的に進めている。

 流山タクシー(関文男社長、31台)は昨年から、インターネットの求人サイトを使い始めた。今までは新聞の折り込みチラシで募集していた。全乗務員53人中、30代が2人、40代が8人と着実に若い層が増えている。

 荒井隆徳所長は「新聞とネットでは、年齢層が明確に分かれている。『タクシーは収入が得られる』と、潜在的に関心を持っている人がいたと思った。二種免許を持たない未経験の若者の応募が多い」と分析する。「話術など、年齢が高い人ならではの接客はあるが、若い人は良くも悪くもタクシーに染まっていない。病院に通う高齢者からは、『若い方だと元気がもらえる』と喜んでもらえている」と語る。

 さらに、「街の住みやすさの中で、移動手段は大きな要素になる。タクシー会社は公共交通の担い手として供給することが使命で、それには人が必要。若い人がいると、社内の活気も違う。積極的に未経験者を採用して、新しい風を入れたい」と意気込む。

 乗務員の権守(ごんもり)雅翔さん(40)は3カ月目の新人。建築業から転身した。「ネットで見て、会社概要が他社よりも丁寧に書いてあり、最初に受けた」と話す。隔日勤務で、1乗務の営業収入の目標を7万円に設定している。「売り上げより、お客さま満足度を上げたい」と掲げる。

 小金谷優太さん(33)は長年、トラックに乗っていたが、タクシードライバーだった父の勧めもあり、タクシーの道に。昨年2月に入社した。「何回も送迎を頼まれて、顔なじみの方もいる。地元のお客さんを大切にしたい」と意欲を見せる。

 一方で、若い乗客からは売り上げや勤務形態をよく聞かれるようで、「興味があるんだと思う。乗務員の年齢層は50代、60代と高めなので、20代、30代のアクティブな人がもっと増えてほしい」と期待する。  

(東京交通新聞)


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