
各賞を決めた審査会の様子(9月1日、東京の観光経済新聞社で)
表彰式は来年1月14日、東京で
観光経済新聞社はこのほど、創刊75周年記念論文コンテストの審査会を開き、最優秀賞1点、優秀賞3点を含めた入賞作品9点を決定した。応募作品59点の中から観光業界の識者ら5氏による審査委員が選定。表彰式を来年1月14日、本社が主催する「人気温泉旅館ホテル250選認定証授与式」(会場=東京・浅草ビューホテル)の席上行う。(入賞作品を今週号から順次掲載します。初回は10月6日号4面に最優秀賞作品を掲載)
コンテストは本紙の創刊75周年記念事業の一環。「観光産業の未来像」「観光産業への提言」「新時代を繁栄で飾るための旅館経営論」などをテーマに、宿泊業、旅行業、運輸業、行政など観光関係の業務に関わる人や、以前関わっていた人、これから関わろうとする人らを対象に作品を募った。4月7日から8月8日までの約4カ月間、募集をしたところ、郵便やeメールで合計59点の作品が寄せられた。
第1次審査は、これら作品について、審査委員1氏と本社編集部員が採点。評価の高かった9点を第2次審査への進出作品とした。
第2次審査は、「独創性」「有用性」「分析力」「表現力」の各視点により審査委員5氏が採点。9月1日、東京の観光経済新聞社本社会議室で審査会を行い、各氏の採点をもとに、審議の上、各賞を決定した。
最優秀賞は宮島グランドホテル有もとを経営、全国旅館ホテル生活衛生同業組合連合会の副会長を務める有本隆哉氏の「観光による地域づくりはどうあるべきか」が受賞した。「現場からの問題意識を丁寧かつ冷静に分析された」「観光による地域づくりについて、特にDMOの問題について分かりやすくまとめられている」と、審査委員各氏から高い評価を受けた。
優秀賞は中島勝喜氏(ホテル黒部代表取締役)の「旅館定休日のススメ」、相原昌一郎氏(新井旅館代表取締役)の「旅館はどこに向かうべきか 適正なアウトプットが宿を強くする」、上村早苗氏(淡路島観光ホテル代表取締役)の「旅は世界を平和にするか―日本の観光業が作るべき未来―」の3作品が受賞した。
中島氏は「年中無休24時間営業の慣習を打破、週休2日制を実現、従業員の労働環境改善、経営の合理化を実践したことは、多くの中小ホテル旅館の模範実例となる」、相原氏は「新井旅館の価値をぶれずに宿泊客に伝えること、勇気ある経営を続けて結果を出している姿に感銘した」、上村氏は「多くの知識人、学者の論理的な視点ではあるが、実務遂行の経営者が体感し、実践していることは素晴らしい」と、それぞれ評価を得た。
第2次審査に進出したほかの5作品は、全てが入賞作に値するとして、佳作とした。
入賞者には表彰状と、最優秀賞は賞金30万円、優秀賞は同10万円を授与。表彰式を来年1月14日の「人気温泉旅館ホテル250選認定証授与式」の席上行う。佳作受賞者には表彰状を後日送付する。
各賞を決めた審査会の様子(9月1日、東京の観光経済新聞社で)
入賞作品一覧(筆者敬称略)
◎最優秀賞=「観光による地域づくりはどうあるべきか」有本隆哉
◎優秀賞=「旅館定休日のススメ」中島勝喜▽「旅館はどこに向かうべきか 適正なアウトプットが宿を強くする」相原昌一郎▽「旅は世界を平和にするか―日本の観光業が作るべき未来―」上村早苗
◎佳作=「日本のおもてなしとAIは共存可能か~旅館での仲居経験と都内ホテルの現場経験から考える~」長谷川真菜望▽「誰もが安心できる心の居場所」小西琉偉▽「”住めない観光地”からの転換を目指して―移住型観光と三層共助による地域再生の提言―」石山竜丞▽「旅館を諦めない」小野雅世▽「働きたくても働けない観光産業~通訳案内士法改正から考える持続可能な観光産業~」村上祐太
審査委員(順不同、敬称略)
石塚勉(日本ホテル教育センター理事長、審査委員長)▽最明仁(日本観光振興協会理事長)▽島川崇(神奈川大学国際日本学部教授)▽田中賢二(観光庁審議官)▽積田朋子(観光経済新聞社社長)