
塚島部長が「万博宣言」
温泉文化ユネスコ登録実現へ「万博宣言」
全国旅館ホテル生活衛生同業組合連合会(全旅連)青年部(塚島英太部長)主催の第4回「宿観光旅博覧会(宿フェス)」が20日、大阪市夢洲で開催中の大阪・関西万博会場内のEXPOアリーナMatsuriで開かれた。1万8500人が来場。温泉文化サミットを行い、ユネスコの無形文化遺産登録に向け「万博宣言」などを行った。
塚島部長が「万博宣言」
宿フェスは全旅連青年部員を中心に、全国47都道府県がブース出展などを通して各県の観光魅力などを広くアピールするイベント。2023年に初開催され、過去3回で延べ約9万人が来場している。
今年は2月の東京開催に続き2回目。国内外から集まる大阪・関西万博の来場者に、各県の宿の魅力や日本独自の温泉文化をアピールしようと企画、実現した。
温泉サミットと併催で開いた式典には、中野洋昌・国土交通相のほか、「温泉文化」のユネスコ無形文化遺産登録を応援する知事の会事務局長の山本一太・群馬県知事、「温泉文化」ユネスコ無形文化遺産全国推進協議会会長代行の井上善博・全旅連会長、「温泉文化」国民会議理事の西海正博・全旅連会長代行、多田計介・日本温泉協会会長、各県の旅館ホテル組合理事長らが出席。
式典の冒頭であいさつした中野国交相は、観光産業が地方活性化に欠くことのできない分野に成長していることに関して、関係者への謝意を述べた上で、観光産業の振興において宿が必要不可欠な基盤であることや温泉の重要性を強調。「国交相としても、宿泊業界の発展と温泉の振興に向け、全力で取り組んでいく」と決意を語り、協力を求めた。
次いであいさつした青年部長経験者でもある全旅連の井上会長は「宿フェスの挑戦が進化を重ね、ついに大阪・関西万博という世界が注目する大舞台での開催に至ったことは、われわれ業界にとって大きな誇りであり喜び。また温泉文化サミットを同時に実現したことは、まさにわれわれ全国の仲間の努力の結晶であり、温泉文化を世界に発信する歴史的な一歩だ」と評価。その上で「温泉文化の無形文化遺産登録は決して容易ではないが、ここに参集の皆さんの力を結集すれば必ず成し遂げられると確信している」と述べ、さらなる結束を呼び掛けた。
知事の会の事務局長として登壇した群馬県の山本知事は「温泉文化は最初相手にされていなかったが、井上会長や青年部の皆さんの力で相当いいところまできている。文化として認められるためには保護措置や定義などまだ越えなければならないハードルがたくさんある。だが、世界のブランドとして認められれば、温泉地で頑張っている全ての人たちに勇気と夢を与えられる。ぜひこの会場にお集まりの温泉が好きな一般の皆さんにも、この運動を応援してほしい」と力強く呼び掛けた。
サミットではこのほか同協議会の温泉文化大使を務める、山口高澄・全旅連青年部政策渉外委員(福井県・グランディア芳泉常務)が登壇し、旅館・ホテルの素晴らしさや温泉文化の無形文化遺産登録への協力をアピール。国民会議事務局長の亀岡勇紀・全旅連専務理事が温泉文化国民会議について紹介を行った。
最後には、塚島部長が登壇。無形文化遺産登録に向けた「万博宣言」を読み上げた。
「温泉」は、日本の豊かな自然の恵みである。
そして、古来より、人々は温泉の湯につかり、心と体を癒やしてきた世界に誇るべき文化である。
日本全国の旅館・ホテルをはじめ、温泉で働く私たちは、日本の文化である、この「温泉文化」の魅力を世界へ発信していくとともに、「温泉文化」を次世代へと守り伝え、未来へ発展させることをここに宣言する。
全国からブース出展
宿フェスでは全国47都道府県の旅館ホテル組合青年部がブロックごとにブースを出展。各地自慢の銘酒や和牛などを振る舞ったほか、「ミニ枕投げストラックアウト」や射的、着物の着付け体験、温泉地紹介、スタンプラリーなどを行い、来場者を楽しませた。
全旅連女性経営者の会による着物の着付け体験
協賛事業者らの協力の下、布団敷き体験やカラオケバトルなども実施。夏の暑さが残る中、循環ろ過装置を使った冷足湯などがにぎわっていた。9歳と3歳の子どもが冷足湯体験をするのを見守っていた兵庫県西宮市の女性は、「宿フェスのことは知らなかったが、子どもたちも楽しい体験ができて良かった。他も見て回りたい」と笑顔で語った。
循環ろ過装置を使った冷足湯
ステージでは、茨城県の青年部員でつくる歌謡ユニット「いばらき若旦那」による新曲披露ステージを皮切りに、温泉むすめの声優によるトークショー、有馬芸妓の舞いや阿波踊りの演舞といった郷土芸能の披露、作家の小山薫堂氏と柏井壽氏らによる日本旅館についてのトークショーなど、さまざまな催しが行われた。
フィナーレには「温泉文化」のユネスコ無形文化遺産登録を応援する知事の会会長を務める、平井伸治・鳥取県知事が駆け付けた。平井知事は宿フェスの成功への祝意を述べた上で、「青年部の皆さんの力により、来場者は、温泉はじめ47都道府県の魅力を楽しめたのではないか。エキスポの後は、行くスパ(SPA)で。ぜひ温泉に1泊を」などと得意のギャグを織り込んだ軽快なスピーチでエンディングを盛り上げた。