
兼任先で母校の中央大学では、今期、インターンシップ科目「国際観光コース」を6年ぶりに再開してタイをめざす。14年から始まった同コースは、コロナ禍で一時、中断していたのだ。
本コース立ち上げから世話になってきたのが、タイ国政府観光庁・東京事務所の藤村喜章氏だ。筆者とは同窓同期の縁。今回のコース再開にも尽力いただいた。現地アユタヤ支局での就業体験に加えバンコクでの滞在と約2週間、学生たちは夏のタイを舞台にツーリズムのシャワーを浴びる予定だ。
OB・OGが後輩たちを支える構図は、同科目の「地域創生コース」も同じである。渡航が許されなかったコロナ禍に、国内での就業体験を目的に新設した。かつて国際観光コースを履修した先輩たちが、移住や転居で暮らす島根・石見銀山と北海道・名寄に、今夏、現役学生を受け入れてもらうことが確定している。なので今年は、2コース3方面を並走させることになった。
彼らは自らを「千葉チルドレン」と名乗り、上下の別なく卒業後も集う。今期12期生を迎え、総勢100名超の大所帯となった。
バンコクでは、メーカー駐在員から国立コンケン大学の院生に転じたタイ在住の千葉チルOBが応援に駆け付けてくれる予定で、再会が楽しみだ。
さて、今回のタイのプログラム開発で協力をいただいている先にもう一つ、北海道のラジオ局「FMノースウェーブ」がある。タイ国政府観光庁提供の長寿番組・「Sabaai(サバーイ) Sabaai!Thailand」でディレクターを務める城野康子氏とは、かつて同庁のファムツアーで毎月のようにタイ国内を取材した同志。「姐さん」、「城さん」と呼び合う仲で、頼れる存在だ。タイに精通した城野氏の助けを借りて、コミュニティベースドツーリズムなどを当地で学べるよう、もろもろアドバイスをもらいながらプログラムを構築した。
その城さんとは先般、代々木公園で開催された「タイフェスティバル2025」で再会したのをきっかけに、「JTBトラベルゲート札幌」で開催のイベント「五感で感じる~Amazing Thailand~」に筆者も飛び入り参加することにした。札幌の一等地にあるJTBの店舗には、入り口にトゥクトゥクが展示されていて、もうそれだけでタイ気分。まずは、伝統工芸ソープカービング(石鹸(せっけん)彫刻)のワークショップに、筆者も挑戦してみることに。アトリエ・クルールを主宰する内藤弘美先生の手ほどきで、カービングナイフを片手に、香りよい石鹸に花びらを彫り進める。老眼の自分でも、まずまずの出来で、楽しい時間だった。
そのあとは、フリーアナウンサー・佐藤麻美さんと城野ディレクターとのスペシャル・トークショーが。最新のタイ事情などを大型ビジョンに映しながら、テンポよく進行した。タイ好きの道民リスナーの皆さんで満員御礼になった会場は、予定の時刻をとうに過ぎても興奮冷めやらぬ雰囲気で、終了後も退ける気配がない。成功裏に夜も更けた。
インバウンド隆盛の北海道。しかし双方向の往来促進があってこその観光経済といえよう。番組が始まって20年、地元FM局が奮闘している姿が印象的だった。
(淑徳大学経営学部観光経営学科学部長・教授 千葉千枝子)
=隔週掲載