
大和屋本店での活用イメージ
観光業界が直面するさまざまな課題解決へ
人手不足や増え続けるインバウンドへの対応など、観光業界が直面する課題の解決に、デジタル技術を生かしたさまざまな商品・サービスが提供されている。ここでは「観光DX」を実践するための各種システムを紹介する。
今年6月に会社設立から10年を迎えたリウシス(名古屋市)は、昨今の慢性的な労働力不足に苦慮する宿泊市場に対して、旅館・ホテル向けに特化したメンテナンス管理アプリ「HoteKan(ホテカン)」シリーズの活用を提唱するなど、業界に一石を投じている。
このシリーズは、同社とホテル運営会社によって共同開発され、設立5年目の2020年から本格的にサービスを展開している。「宿泊施設内における設備の修繕管理や備品管理をスマートフォンや、タブレット端末一つで簡単に操作可能な画面デザインと設計を施した唯一無二のアプリ」と社長の苅谷治輝氏。
電球が切れたといった交換(修繕)の必要な設備についての履歴を管理できる「設備管理」のネイティブアプリと、アメニティを含む備品の在庫状況を把握する「備品管理」のWEBアプリをそれぞれ用意した。
近年では老舗高級旅館や有名ホテルチェーンなど全国約150を超える施設で採用され、「訪日外国人旅行者の全国的な増加に伴い、前者の設備管理に重きを置いた運用が際立つ」と苅谷氏。
大和屋本店での活用イメージ
HoteKan設備は、施設内のあらゆる設備に異常が生じた場合には、スマホで写真の撮影を行い、状況を入力・通知し、ホテルスタッフ、清掃スタッフ、外部修理業者の三者間でチャットできる機能を搭載した。
さらに、写真や動画付きでの共有もできることから、口頭での伝達ミスを防ぎ、修繕までの期間を短縮して、業務効率化を実現する。
また、4月には、チームメンション機能を新たに追加したことで、清掃スタッフのチーム、フロントスタッフのチームなど事前に登録しておいたチームメンバーに通知することを可能にし、より利便性を追求した点もポイント。
併せて、外部業者からの消防設備の点検や法定点検等の報告書の保管・共有も可能で、ペーパーレスの促進にも貢献する。