
文化庁によると、文化審議会世界文化遺産部会は7月26日、彦根城の世界遺産への推薦を見送るとした。彦根城は昨年10月のイコモスによる事前評価の結果、世界遺産の評価基準を満たす可能性があるとしながらも、江戸時代の大名統治システムの運用方法への説明不足や、単独の資産で大名統治システムを完全に表現できるのかなどの課題が指摘されていたところ。これらの指摘を踏まえ、滋賀県と彦根市は推薦書案を作成し、7月に文化庁に提出していた。
文化審議会では、検討に進捗が見られるものの課題が残ることから「説明の充実に向けて引き続き取り組みが必要」との意見をとりまとめた。具体的には、城の歴史的側面の比較分析として、大名の家格や知行高、将軍家との親疎関係、城の建築時期等の観点から、一定の範囲の城を抽出することについて「比較の観点や具体的な線引きの基準の妥当性や客観性に関して、イコモスから指摘を受ける可能性がある」と指摘。そのうえで他の城との比較を行い、その中から彦根城を抽出する際には、説明のさらなる充実が必要とした。このほか資産の遺存状況や大名統治システムなどについても説明の充実を求めた。
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