【交通トレンド分析293】万博開幕後、東海道新幹線や伊丹空港発着便の利用者が増加傾向 鳥海高太朗


 ANAは、パリのエアショーでボーイング787―9型機の長距離国際線機に2026年度以降に導入される新ビジネスクラス「THE Room FX」のシートをお披露目した。「FX」は「Future Experience」の略となっている。個室型のビジネスクラスとなっており、26年度中には3機(新造機)に導入され、その後現在飛んでいる飛行機についても順次改修が行われる予定となっている。

 私は今回、パリへ取材に行って実際に座る機会に恵まれたが、座った感想としては、すでに19年から導入されているボーイング777―300ER型機の「THE Room」と変わらない快適さで、家のソファのようなリラックスさがあり、個室ドアと壁を薄型化したことで横幅はさらに広くなっている感じだ。

 ANAによると「THE Room FX」では、椅子、ソファ、ベッドの三つのスタイルを自由に選択できる革新的なデザインが特徴で、特に背もたれが固定されたことでベッドにする際にはフットレストを上げる形でベッドが完成する。これまでであれば、機体が小さい飛行機に似たようなシートが投入される場合は横幅が狭くなることも多いが、このシートでは同じ快適性が維持されている。横幅を確保した要因としては、壁やドアの部分が薄く設計されているほか、アームレストの内部をへこませたり、救命胴衣の位置を移動されるなどの苦労があったとのことだ。

 またプライバシー向上の部分では、扉の高さがボーイング777型機と比べて約10センチ程度高くなっており、JALのエアバスA350型機のビジネスクラスの扉の高さとほぼ同じようだ。機能面においては、24インチHDモニター、USB Type C充電、ワイヤレス充電、Bluetoothオーディオ接続などを搭載するなど、フライト中を快適に過ごすことができる。

 ANAは現在、ボーイング777―300ER型機のみが新型ビジネスクラスを導入しており、今後後継機として導入予定のボーイング777Xの製造が遅れており早くても来年後半以降になる。

 このような状況もあり、ボーイング787―9型機への新型シート導入を望む声が大きかった。
 JALは国際線のフラッグシップ機であるエアバスA350―1000型機を羽田発着のニューヨーク、ダラス、ロンドン、ロサンゼルス線に毎日投入しているほか、羽田―パリ線も隔日運航し、ビジネスクラスは完全個室仕様となっている。

 ANAでは「THE Room」はニューヨークとロンドン線に毎日投入され、サンフランシスコ、シカゴ線の一部でも利用できる。JALに比べて路線数が限られているが、ボーイング787―9型機の「THE Room FX」が導入されれば、個室型のビジネスクラスに乗れる機会が増える。まだ1年先だが導入が楽しみだ。

(航空・旅行アナリスト、帝京大学非常勤講師)

 
 
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