
小畑校長自らが講師を務めるワーク形式授業の「SDGs理解講座」
観光は明日の日本を支える重要な産業といわれ、今後さらなる成長が見込まれるが、その成長を確かなものにするには優秀な人材の確保が必要不可欠だ。ここでは観光に関わる充実した教育環境を誇る大学、専門学校9校を取り上げた。
日本発のホテル専門学校
今年、創立90周年を迎える東京YMCA国際ホテル専門学校(東京都新宿区)は、「日本初のホテルに特化した専門学校」として、観光立国の実現に貢献している。
今日まで1万2千人を超える卒業生を輩出し、総支配人からサービススタッフ、また旅館の後継者、経営者と、あらゆるステージで活躍している。
1972年に始まった1年制の「ホテル専攻科」を「ホテル旅館経営学科」にリニューアル(2017年度)。「宿泊施設の後継者が集まるという点では国内唯一の学科で、旅館・ホテルの後継者・経営者育成の環境強化が主な目的」と校長の小畑貴裕氏。
経営者に最も必要なことは「旗振り」で、自身が正しいと思う決断をし、社員に方向性を示すことが求められる。
「そのため、カリキュラムには、マネジメントを皮切りに、マーケティングやアカウンティングを基盤とし、管理理論と実践的なものに特化した講義をラインアップした点が最大の特徴」と小畑氏。
特別授業として、宿泊業界に特化したビジネススクール「宿屋大学」が主催する講座に通年、社会人に混ざり参加。日本の宿泊業界をけん引する著名なキーパーソンの講師や受講者とのつながりも生まれ、「YMCAネットワークが最大の財産で、人脈づくりにも貢献している」と力説する。
対して2年制の「ホテル科」はおもてなしのプロを追求している点が特徴で、実際のホテルでの授業で実践スキルを磨くべく、6カ月間のホテル実習で自身の可能性を広げるという。
1年次の夏期休暇にリゾートホテル実習の参加も可能で、これらの企業での実習が即戦力となる人材の輩出につながっているという。
また、同校では今後、業界の抱える慢性的な人手不足の解消にも取り組むべく、留学生の受け入れにも注力し、真のホテリエを育てる覚悟だ。
先人たちが守ってきた歴史と伝統を引き継ぎ、次世代のリーダーとしての自信を深める場として、この学校は存在し、「次代を担う人材を輩出することがYMCAの大きな使命」と語る。
小畑校長自らが講師を務めるワーク形式授業の「SDGs理解講座」