
日本旅館協会(桑野和泉会長=大分県・由布院玉の湯、2099会員)は20日、ホテルインターコンチネンタルホテル東京ベイ(東京都港区)で通常総会を開き、2025年度の事業計画を審議・承認した。桑野体制のもと2年目を迎えた今年度は、石川県・能登地方の復興を最重要課題と位置付け、金融問題、災害対策など業界が抱える諸課題への取り組みを推進。主事業である「宿泊業界における観光と金融に関する全国懇談会」は9月に金沢市内で開催する。
9月には金沢市で金融懇談会も実施
桑野会長は冒頭あいさつで「旅館に向き合った1年だった」と振り返り、旅館は国内外に広く地域の魅力を伝える「地域のショーケース」であることを改めて強調。「私たちは(地域の魅力を)伝える役割として、地域の未来を常に考え、地方創生に向け取り組んでいる。非常に重い役割を担っているが、私たちはそれを成し遂げる力がある」と力強く語った。
また、今年度はユネスコ無形文化遺産の国内候補が決定する重要な年であることに触れ、「『温泉文化』を考えることが、私たち旅館の生きる道を考えること(につながる)」と、温泉文化の登録実現に向けて協力を呼び掛けた。
今年度は、業界の諸課題に対応する委員会活動に加え、新型コロナウイルス・災害復興対策本部内で、能登半島地震対応や地方の旅行需要喚起に関し、政府への要請や情報提供を行う。
また、新たな施策として、インバウンド受け入れに伴う地域間格差の解消に向け、地方空港の活性化を含む要望・陳情活動も展開する。
金融を含む業界全体の課題を議論する「宿泊業界における観光と金融に関する全国懇談会」は9月4日、金沢市のアートホールで開く。翌5日には、能登半島地震や豪雨災害で被災した石川県・輪島地区を視察する。
桑野会長は「被災から1年半が経過したが、今も多くの施設が休業を余儀なくされている。地元の金融機関、関係省庁、私たち宿泊業界のメンバーが一同に集まり、早期復旧・復興に向け、被災施設の整備促進、持続可能な施設の維持管理をしっかりと議論できたら」と会員に参加を呼び掛けた。
桑野会長
旅館の「定義」年内に策定へ
総会では、「政策委員会」「EC/DX委員会」「労務委員会」「ミライ・リョカン(旧:未来ビジョン)委員会」の4委員会が、24年度の事業活動、今年度の方針を報告。
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