
名誉会長に選任された二階俊博前会長
全国旅行業協会(ANTA)は6月25日、第61回定時総会を東京都千代田区の都市センターホテルで開催した。議事の後には任期満了に伴う役員選任が行われ、30年以上にわたって会長職を務めた二階俊博会長に代わり、近藤幸二副会長が新たな会長として就任することが決定。二階前会長は名誉会長に選任された。
役員選任では、二階名誉会長の選任、近藤会長の選任に加え、副会長の選任も行われた。現副会長の駒井輝男氏と北敏一氏は、年齢の規定により副会長を退任。次期副会長には、東京都支部長の村山吉三郎氏、大阪府支部長の吉村実氏、熊本県支部長の松嶋洋氏の3氏が正式に承認された。
名誉会長への就任が決定した二階会長は冒頭のあいさつで、「(私が)就任したのは、バブル経済崩壊後の1992年。当時は関西国際空港も開港しておらず、観光立国の土台も出来上がっていない状態だった。33年の時を経て、観光産業は重要な基幹産業へと成長・発展をしてきた」と振り返り、会員に対して感謝を述べた。
「これからANTAは会員の中から決めたリーダーのもとで、未来に向かって歩み始める。(観光産業は)平和の中にのみ存在する平和産業。世の中を観光という光で照らし、人々の悲しみや苦しみを希望に変える崇高な業務を担っている。その誇りと自信を胸に、切磋琢磨しながらともにまい進していこう」と呼び掛け、会員を激励した。
あいさつの中で、これまでの観光業界を回顧した二階名誉会長
新会長に就任した近藤会長は、「観光産業は、自動車産業に次に位置する産業へと発展した。これだけ大きな伸びの中で、われわれ旅行業の存在が薄くなっていると危機感を持っている。協会として、中小の旅行会社の集合体としての英知を出して頑張っていきたい」と意気込みを語った。
近藤会長は、二階前会長のもと、6期12年、副会長職を務めた。今回の総会で選任された役員に対しても、「また協会に新しい風を吹き込んでいただけると期待している」と述べ、旅行業の発展に協力を呼び掛けた。
意気込みを語る近藤新会長
新たに副会長に選任された村山副会長、吉村副会長、松嶋副会長も就任あいさつを行い、新たな体制での協会運営に努力していくことを宣言した。3氏の副会長就任と同時に退任する前副会長の駒井輝男氏、北敏一氏も退任あいさつで登壇。副会長に就任した後の苦労などを振り返り、会員に向けて謝辞を述べた。
総会の来賓には、観光庁の秡川直也長官の代理として、観光庁次長の平嶋隆司氏が登壇。観光庁の三つの取り組みとして、地方を中心としたインバウンド誘客、持続可能な観光地域づくり、国内交流の拡大を紹介。「こうした施策の実現には、地域のことを熟知している旅行会社の皆さまの役割が不可欠だ」と述べ、地域の関係者と連携した地域の観光資源の価値向上、魅力ある旅行商品の造成に期待を示した。
今回の総会をもって承認された25年度の役員は以下の通り(敬称略)。
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