
観光経済新聞社は5日、観光業界の識者を招いてのオンラインセミナー「観光経済新聞チャンネル」の第37回配信を行った。シーアンドアールエム代表取締役の小林武嗣氏=写真=を招き、「インバウンド時代のレベニューマネジメント~自動集客による直前販売と二重価格の導入」をテーマに講演した。
小林氏は(1)宿泊客全体のリードタイムが短縮していること(2)海外客と国内客の価格コンシャスの違い―を宿泊業界が抱えている直近の課題として挙げた。これらの課題に対応するためには、リピーター施策(CRM)と単価アップ施策(レベニューマネジメント)を融合させた取り組みが必要だと述べた。
例として、低需要日や団体客によるキャンセルなどで空室が発生している場合に言及。価格を下げて誘客を図るのではなく、常に需要に応じた自動集客を行うことで、施設の規模に関わらず、最大限の利益を生み出せると提唱した。
リピーターが売り上げに与える影響の大きさを、同氏がこれまで調査してきた統計をもとに説明。「旅館では上位比率5%に対してリピーターの売り上げ占有率は30%にも及ぶ」と、小規模の施設ほどリピーターの確保が重要になってくると力説した。
適切なタイミングでのインセンティブ付与やメール配信などのリカバリー施策を行うことが、リピーターの減少を食い止めるのに有効であり、リピーターに宿泊を喚起させる手段として、ホテル・旅館型マーケティングオートメーションの導入を推奨。実際に導入している宿泊施設のアプリも紹介した。
「大手の宿泊施設だけではなく、コロナ禍以降は中小規模のホテルや旅館にも注力している。集客システムに悩んでいる業者の方はぜひ相談してほしい」と締めくくった。
小林氏