
観光庁・観光戦略課の河田敦弥課長
国内外のオンライントラベル関係者が集まる国際会議「WiT(ウェブ・イン・トラベル)ジャパン&ノースアジア」が5月26、27日の2日間、ウェスティンホテル東京(東京都目黒区)で開かれ、多数の講演、セッションが展開された。AIをはじめとする「トラベルテック」のキーパーソンが多数登壇し、自社の業況や旅行動向の分析、旅行ニーズの変化や今後の旅行トレンドの展望などについて意見を交わした。
27日には、観光庁観光戦略課の河田敦弥課長が登壇。昨今の社会経済の状況下における観光産業発展の意義に触れた上で、日本の観光政策の現状と今後の取り組み、国内で予定されている大型イベントについて紹介した。
河田氏は冒頭、「2065年までに生産年齢人口は40%減少する」と日本の深刻な人口動態の予測を紹介。こうした状況下では、観光は単なる経済政策ではなく、成長戦略の柱、地域活性化の切り札になるなど、より広範な社会的意義を持つと説明した。複雑化している国際情勢に鑑みても、観光産業は世界平和と安定化に貢献する重要な要素になるとの見解を示した。
続いて河田氏は、インバウンドの状況についても報告。今年の第1四半期(1〜3月)における訪日外国人旅行消費額が2.3兆円に達し、前年同期比28%増と過去最高を記録したことを明らかにした。今年3月の訪日外国人旅行者数は約350万人となり、前年同月比14%増。特に韓国、中国、台湾、アメリカからの旅行者が多く、1〜3月の累計では1000万人を突破していると強調した。「一人当たりの消費額も増加しており、現在約22万円に達している」とし、品目別の輸出額では自動車に次ぐ規模になっていることを紹介した。2030年までに訪日客数6000万人、消費額15兆円を目指すため、観光立国推進基本計画の改定にも着手していると報告した。
好調なインバウンドのほか、日本人の海外旅行についても言及。日本旅行業協会(JATA)、外務省とともに、今年3月に海外旅行促進キャンペーン「もっと!海外へ」との宣言を発出したことを紹介し、若者の国際交流を促進するためにオンラインでのパスポート取得を可能にした施策を紹介した。
このほか、今後国内で開かれる重要なイベントも紹介。今年10月13日まで開催される大阪・関西万博のほか、2027年の3月から9月にかけて横浜で開催される国際園芸博覧会を紹介した。「(国際園芸博覧会は)1000万人以上の来場者を期待している。環境のサステナビリティ、グリーンイノベーションを観光政策とともに推進する」と説明した。
観光庁・観光戦略課の河田敦弥課長