
熱中症対策を怠ると罰則も
5月なのに早くも猛暑日(最高気温35度以上)である。21日、岐阜県飛騨市上岡で午後1時過ぎに最高気温35度を観測し、全国で今年初めて猛暑日となった。
そのほか、東北南部から中国地方にかけて広い範囲で30度を超え、あちらこちらで今年一番の暑さに。午後2時までにタイ記録を含む計14地点で5月1位の最高気温を更新したという。
今年も暑くなりそうで先が思いやられるが、熱中症にかかる人が多くなりそうなのが気がかりだ。重症化すると死亡することもあり、近年、問題となっている。学校では熱中症の対策が行われているが、6月から企業でも熱中症対策が義務付けられる。
厚生労働省によると、職場で熱中症になる人は昨年で約1200人となり、そのうち30人ほどが死亡しているという。多くは初期症状を放置し、症状が重くなってから見つかったほか、医療機関への搬送などの対応の遅れがあったとされる。もっと早く対応していれば、亡くなることはなかった。
6月から義務付けられるのは、(1)熱中症の自覚症状がある人や疑いのある人が出た場合の緊急連絡先や担当者を決めるなどの体制整備を事業所ごとに定める(2)作業からの離脱、身体の冷却、医療機関への搬送など、重症化防止のための手順を事業所ごとに定める(3)職場での対策の内容を作業者に周知する―など。
義務化の対象となるのは、「気温31度以上か暑さ指数28以上の環境で」「連続1時間以上か1日4時間を超える労働」。事業者が対策を怠った場合は、6カ月以下の拘禁刑、または50万円以下の罰金が科される。
炎天下、建設現場や畑仕事など外で働く人は要注意だが、観光地を巡るツアーや修学旅行時でも注意が必要だろう、屋内にいても熱中症にかかるケースがあるだけに、油断は禁物。
企業の中には、気分が悪くなったり、頭が痛くなったりするなど少しでも異変を感じたら報告をして休憩を取ることや、ある時間になれば体調に異常がなかったかどうか担当者に報告するよう呼びかけるところもあると聞く。
熱中症は全国どこでも起こりえるが、とりわけ心配されるのがこれから本番を迎える大阪・関西万博会場だ。暑さを避ける場所が少ないともいわれるだけに、ツアーガイドなどは細心の注意を払う必要がある。
従業員の命を守るのは経営者の務めだ。熱中症を軽視せず適正な対策を講じてほしい。罰則を科せられると企業イメージも悪くなる。
熱中症対策を怠ると罰則も