佐賀県有田町、国の「風」で地方創生加速へ 支援官3氏が着任


記者会見後の記念撮影(前方左より松尾町長、徳満支援官、小俣支援官、鹿嶋支援官)

地方創生伴走支援キックオフ

 佐賀県有田町は、各府省庁の職員が地方自治体の課題解決を副業的に支援する「地方創生伴走支援制度」に採択され、5月24日から26日にかけて、3名の地方創生支援官が同町を訪れた。支援官らは3日間にわたり町内各所を視察し、最終日の26日には有田町役場で町職員とのキックオフミーティングと記者会見に臨んだ。窯業の振興と後継者問題、観光インバウンド対策、産業マッチングといった町の課題に対し、国の専門的な知見と「よそ者視点」による新たな風が吹き込まれることが期待される。

記者会見後の記念撮影(前方左より松尾町長、徳満支援官、小俣支援官、鹿嶋支援官)

 

「風の人」に期待、松尾町長

 26日に有田町役場1階町民ロビーで開かれた記者会見には、松尾佳昭町長と、今回着任した徳満純一氏(総務省)、小俣緑氏(国土交通省観光庁)、鹿嶋誠氏(経済産業省中小企業庁)の3名の支援官が出席した。

 

 冒頭、松尾町長は「この度は、地方創生支援官として有田町にお越しいただきありがとうございます」と歓迎の意を表し、「窯業の振興と後継者問題、観光インバウンド対策、産業マッチングの観点で視察していただいた。今年度の町長訓示で『土の人から風の人へ』と話したが、まさに支援官の皆様は『風の人』であり、大いに期待している」と述べ、視察の感想と課題認識についてコメントを求めた。

有田町の活性化に熱い思いを語る松尾町長

 

各支援官、有田のポテンシャルと課題を語る

 総務省の徳満氏は、「有田焼は全国的に有名だが、他の地域と同様に、これをいかに持続可能なものにしていくかが課題。少子高齢化が進む中で、窯業を魅力あるものにするため、一つ一つの課題に素人目線で問いかけながら、皆様と一緒になって取り組みたい」と述べた。

 観光庁の小俣氏は、「支援官として真っ先に手を挙げさせていただいた。他省庁の方と連携できるのも楽しみ。3日間で町民の皆様の温かさを感じた」と有田町の印象を語った。

 中小企業庁の鹿嶋氏は、「初めての九州出張が佐賀県だった縁を感じている。自然豊かで、町民の皆さんが地域に熱い思いを持っていることを強く感じた」と述べた。

意気込みを語る観光庁 小俣支援官

 

1年間の伴走支援、「変化」と「将来への礎」目指す

 今後の伴走支援について、徳満氏は「課題を多面的に考え、議論を重ねたい。我々が入ることで少しでも変化が生まれ、将来のビジョンを具体的に描ける機会になれば」と意気込みを語った。小俣氏は「目の前の課題に対し、小さなことでも実行し、結果を残すことで次の取り組みへのきっかけとしたい。任期後も繋がりを持てれば」と述べた。鹿嶋氏は「有田町のファンを増やし、新しい風を吹き込みたい」と語った。

 

観光インバウンド戦略、ハイエンド層狙う

 記者会見後、松尾町長は観光インバウンド戦略について語った。有田陶器市には期間中110万人以上が訪れるものの、実際の購入に繋がっていない現状を課題として挙げ、「窯業を新しい時代に合う魅力的なものにし、陶器市以外の普段の日の誘客が重要」と指摘。近隣のハウステンボスや温泉地との連携も視野に入れつつ、「柿右衛門や今右衛門とのコラボなどを通じ、高付加価値な商品でハイエンド層のインバウンドを狙いたい。そのため、町内の高級宿泊施設の整備も並行して進める」との考えを示した。

 

 有田町は、国の支援官という強力な「風の人」を得て、伝統産業の維持・発展と新たな観光戦略による地域活性化に向けた歩みを加速させる。1年間の伴走支援が、町の未来にどのような変化をもたらすか、注目が集まる。

 
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