
「高山荘 華野」全景
観光業界が直面するさまざまな課題解決へ
人手不足や増え続けるインバウンドへの対応など、観光業界が直面する課題の解決に、デジタル技術を生かしたさまざまな商品・サービスが提供されている。ここでは「観光DX」を実践するための各種システムを紹介する。
有馬温泉(神戸市)の旅館「高山荘 華野」(客室15室)は、新日本コンピュータサービスのPMS「MACRA」のクラウド版を昨年導入。業務の高度化、効率化を実現している。
温泉街の高台にあり、静かな環境と眺めの良さが自慢という同館。有馬といえば「金泉」「銀泉」という2種類の源泉が有名だが、同館はともに館内に引いている。「1軒の宿で、この2種類の湯を楽しめるところはあまりなく、当館の強みの一つ」と代表取締役の駿川裕司さん。館内の高付加価値化も進め、サウナや2種類の湯を客室内で楽しめるスイートルームも装備した。
「高山荘 華野」全景
MACRAは昨年5月に導入。「新日本さんのシステムは多くの導入実績があり、同業者からの評価が高かったことや、他社ではあまり見られないクラウド版をリリースしていることも導入の決め手となった」(駿川さん)。
ソフトをダウンロードすることで、手持ちのパソコンからも現在の予約状況を確認できる。「その日の予約状況や、どのぐらいの価格で販売されているかについて、出張中でもリアルタイムで確認できるのが良い」。
各種のオプションシステムも導入。その日の料理メニューがモニターに表示される「調理場インフォメーションシステム」は、「従来はホワイトボードへの手書きだったが、メニューや品数の変更があった場合のフロントから調理場への伝達ミスが新たなシステムによりほぼなくなった」。
小規模施設で高齢のスタッフも多かっただけに、予約も手書きの台帳を使うなど、館内のIT化・DX化になかなか踏み切れなかったという同館。「今回の新日本さんのシステム導入は、スタッフの意識改革、ITリテラシーの向上という目的もあった。実際導入すると使い勝手も良く、所期の目的は達成できたのではないか」。