【VOICE】関東のインバウンド観光は次なるステージへ 一般社団法人関東広域観光機構 CMOプロジェクト統括 畑山博康氏


畑山氏

存在意義増す広域DMO

 現代の観光のニーズは、有名地を巡る「モノ消費」から、地域独自の体験を重んじる「コト消費」、さらには、その時・その場でしか味わえない価値を楽しむ「トキ消費」や社会貢献的側面を重視する「イミ消費」へと広がっている。訪日客は単なる「見物人」でなく、地域の生活・文化に入り込む「参加者・当事者」であることを望み、点在する観光資源をテーマやストーリーで結び、新付加価値創出の高い編集力が必要だ。一方、観光が目指すのは、観光消費が地域経済の活力を増大させ、旅行者との交流を通じ有形無形の財産を地域にもたらし、文化伝統継承や景観保全に還元される持続可能な循環モデルだ。「住んでよし、訪れてよし」、Win―Winの共生関係こそが地域ブランドの価値を高める。観光を地域のアイデンティティを次世代へ引き継ぐプラットフォームに育てあげ、新たな活力を生み出す「創造の架け橋」にしたい。

 1都10県をカバーする関東広域観光機構(GTTO)の基本コンセプトは「Tokyo and Around Tokyo」。圧倒的発信力を持つ「東京」をゲートウェイとし、東京自身の魅力に加え、関東広域観光圏への「理解のゲートウェイ」として位置付け、旅の冒頭で日本や地域の成り立ちや魅力を理解してもらい、各地域での体験をより深く意味のある「本場の学び」へと引き上げ、周辺地域へ人の流れを波及させることを目指す。関東の強みは、最先端の都市機能やテクノロジーと、地域ごとの多様な歴史・文化や豊かな自然、成田・羽田というダブルゲートウェイが共存する「対比的な多様性」にあり、世界屈指の鉄道・道路網を基盤に点在する地域の個性を束ねる。GTTOは広域DMOとして一過性の通過型観光を地域に根を下ろす「滞在型観光」へ深化させていきたい。

 その具体的な戦略が「Edo Shogun Roads(江戸街道)」プロジェクトだ。日本橋を起点とする五街道や脇往還を現代視点で再定義し、東京から周辺10県へとつながる広域ルートを提案する。例えば、東海道・甲州街道に沿って富士を望み、街道イメージを重ねつつ食や日本酒を堪能する旅、中山道の険しい峠道に息づく歴史に触れ、日光街道・奥州街道を経て北関東の静謐(せいひつ)な温泉地や精緻な匠の技を訪ねる道筋など、多様な魅力を「Edo Shogun Roads」という強力な世界観で結びつけることで、単一自治体・地域では成し得ない広域プロモーションと魅力的周遊の訴求を可能とする。都市の躍動と地方の静謐が共鳴し合う「Greater Tokyo」の利点を最大限に生かし、GTTOは地域の未来を共に創るパートナーとして観光の新しいステージを切り拓いていく。


畑山氏

 
 
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