2023年観光施策 消費、地方、持続可能性が鍵 観光庁 和田浩一長官


観光庁の和田長官(12月21日の会見)

高付加価値化、DXを支援

人手不足で賃上げも課題に

 観光庁の和田浩一長官は12月21日の専門紙会見で、2023年の観光施策について展望を語った。国内観光、インバウンドの本格的な需要回復に向けては、「消費額拡大」「地方誘客促進」「持続可能な観光」をキーワードに戦略的に取り組む考えを示した。宿泊業における人手不足対策では、従業員の賃金水準の引き上げなどにつながる施策の重要性を指摘した。【向野悟

観光庁の和田長官(12月21日の会見)

 

 ――2022年の振り返りと、2023年への抱負をお聞きしたい。

 この3年近く観光行政の最大の課題はコロナへの対応だった。感染拡大防止と社会経済活動のバランスを図りながら、国内需要の喚起のほか、宿の高付加価値化やデジタル化の支援など、深刻な影響を受けている観光関連産業を多面的に支援してきた。

 そうした中、ようやく10月から、全国旅行支援の開始とともに、ビザ(査証)なし渡航、個人旅行の再開など水際措置の大幅な緩和が図られ、いよいよ国内外の観光需要を本格的に回復させる局面に変わった。10月に開催された観光立国推進閣僚会議でも、総理から観光立国の復活に向けたご指示をいただくなど、わが国の観光の復活に向けて、大きな転換点を迎えた年になったと考えている。

 全国旅行支援の効果もあり、10月には日本人の国内延べ宿泊者数がコロナ前を上回るとともに、11月の訪日外国人旅行者数は中国を除くとコロナ前の半分程度まで回復した。引き続き国内外の観光需要の本格的な回復、拡大を図ることが重要であり、今後は「消費額拡大」「地方誘客促進」「持続可能な観光」という三つのキーワードに特に留意して、次の三つの戦略を進めていきたい。

 戦略の一つ目が全国旅行支援や「第2のふるさとづくり」などによる国内交流拡大戦略。二つ目が消費額増加や地方誘客の促進を図るためのインバウンド回復戦略。そして三つ目が観光地や宿の高付加価値化の計画的、継続的な支援などによる高付加価値で持続可能な観光地域づくり戦略。この三つの戦略を総合的かつ強力に推進していきたい。補正予算をはじめ、必要な予算をしっかりと確保しつつ、わが国の観光を持続可能な形で復活させるため、しっかりと取り組んでいきたい。

 ――今後の観光事業者への支援の在り方は。

 観光産業はコロナ禍によって甚大な影響を受けている。例えば、宿泊業は、3年近くにわたるコロナの影響を受けて、2021年度の売上高がコロナ前の2019年度と比較して3割以上落ち込んでいる。また、2021年度末時点の債務残高が2019年度と比較して約4割増えているという状況にある。全国旅行支援の開始や水際措置の緩和により、現在、足元の需要は回復傾向にあるが、観光産業はコロナ禍で受けた打撃によって、引き続き経営状況が厳しい事業者も多い。

 このため、引き続き需要喚起を図るべく、全国旅行支援を年明け以降に実施することとしている。加えて、観光地、観光産業の再生・高付加価値化、また、観光産業のDX化支援などの充実を図り、収益力の向上や経営の効率化を支援していきたい。こうした取り組みを通じて、観光立国の復活の担い手となる観光関連産業を多面的に支援し、持続可能で高付加価値な観光産業の実現に向けて取り組んでいく。

 ――国際交流、国際観光の回復への取り組みは。

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