観光庁は11日、2010年の日本国内での旅行消費額の確定値を発表した。旅行消費額は23兆8千億円で前年に比べて5.9%減少した。前年を下回った要因は、日本人の国内旅行回数が減少したためとみられる。
観光、帰省、業務を含めた日本人の国内旅行のうち、宿泊旅行の消費額は16兆1千億円で前年の17兆3千億円から大きく減少した。日帰り旅行の消費額も5兆1千億円で前年の5兆5千億円を下回った。
日本人の旅行は、1回の旅行での消費額はほぼ前年並みだが、実施回数が減少している。宿泊旅行の1人当たりの年間回数は前年比7.7%減の2.51回にとどまり、観光目的に限ると8.2%減の1.34回だった。日帰り旅行も10.1%減の2.49回と減少した。
日本人の宿泊旅行、日帰り旅行以外の旅行消費額を構成する項目は、日本人の海外旅行(国内での消費分)が1兆3千億円でほぼ前年並み、訪日外国人旅行が1兆3千億円で前年の1兆2千億円から増加した。
旅行消費額は、国際的に推奨されている旅行・観光サテライト勘定(TSA)の導入に伴い暦年ベースの数値に変更した。また、推計方法の変更で公表済みの過去の旅行消費額を修正した。過去5年は、05年が28兆6千億円、06年が30兆1千億円、07年が28兆2千億円、08年が27兆8千億円、09年が25兆3千億円となる。
424万人の雇用創出 日本経済に貢献も
観光庁は、10年の旅行消費額23兆8千億円がもたらす経済波及効果を推計した。直接効果を含めた生産波及効果を49兆4千億円、雇用創出効果を424万人と算出した。
観光産業の日本経済への貢献度が分かるように、旅行消費の経済波及効果を全産業に占める比率で示すと、生産波及効果は国内生産額(国民経済計算における産出額)905兆1千億円の5.5%に相当。雇用創出効果は総就業者6392万人の6.6%に相当することが分かった。