HIS中間決算、コロナ影響で35億赤字 国内注力、国内店舗3分の1削減


 エイチ・アイ・エス(HIS、澤田秀雄代表取締役会長兼社長)は6月24日、2020年10月期中間(19年11月1日~20年4月30日)決算を発表した。連結業績は、売上高が前年同期比8.9%減の3443億5300万円、営業損益が14億6900万円、経常損益が7億6千万円、中間純損益が34億5900万円の各赤字。新型コロナの影響を受け、減収減益となった。今後は国内旅行に注力するほか、記者発表会で澤田会長が「コロナ前から計画していたが、国内の店舗数を減らす。店舗の時代は半分終わった」と話すなど、国内店舗数を1年間で258店舗から約3分の1の約90店舗を減らすなどコスト削減に取り組む。

 旅行事業は、売上高が同11.1%減の2995億8900万円、営業損益が16億7600万円の赤字。各種キャンペーンでの訴求のほか、法人事業で危機管理システムの開発や緊急避難援助サービスのリリースを行うも、新型コロナの影響によるキャンセルや移動自粛の影響を受け、大幅に減少した。海外では、新規連結した「Red Label Vacation Inc.」による増収寄与のほか、各種専門店をはじめとした11店舗を新規開設した。店舗数は、国内258店舗、海外69カ国163都市269店舗になった。

 ハウステンボスグループは、売上高が同28.1%減の98億4800万円、営業損益が5億500万円の赤字。これまで別料金だったアトラクションをパスポートで利用可能にした「パスポート革命」や、客の声を集めて改善に努める「ハウステンボイスキャンペーン」を行うほか、冬季イベントでイルミネーション「白銀の世界」を展開した。6月17日に開催されたハウステンボス中間決算記者発表会では、坂口克彦社長は「Go Toキャンペーンによる宿泊増やECサイトの強化で反転攻勢する。長崎や九州に向けた取り組みを展開するなど、地元から強化する」と話した。

 ホテル事業は、売上高が同4.3%増の64億7千万円、営業損益が4億9400万円の赤字、EBITDAベースでは同19.2%増の12億4400万円の黒字だった。新型コロナの影響で宿泊予約が減少した。Green World Hotels(台湾)は、急激な業績悪化に伴い、固定資産の一部を減損損失として特別損失に計上した。

 九州産交グループは、売上高が同11.1%増の123億9400万円、営業利益が同33.5%減の1億9800万円。熊本県内大型商業施設の開業に伴う不動産賃貸業や海上輸送業が堅調に推移したが、旅行事業やバス事業などで新型コロナの影響を受けた。

 エネルギー事業は、売上高が同50.9%増の140億600万円、営業利益は同156.8%増の9億3300万円。電力小売事業で名古屋営業所の開設による代理店の強化や関西地区の企業との提携の推進で、契約者数が増加した。

 20年10月期連結業績予想は、新型コロナの影響で未定としている。

コスト削減で改革 国内は1.5倍増へ

 同日に中間決算記者発表会を開催。澤田会長は今後のコスト削減に言及した。人件費や店舗賃料、宣伝費を1300億円から1100億円に、ホテル開発や不動産など一部キャンセル、システムの内製化で約90億円を削減する。コスト改革は来年以降も継続する。

 資金面では、3銀行から来年6月までの運転資金として計330億円を調達する。社内では、本社にテクノロジーを使い、オンラインツアーやサブスクリプションなど、新たな旅行を創出するDX推進本部(20人規模)を新たに設けた。

旅行事業では、1、2年で国内売り上げの1.5倍増を目指す。中森達也専務は「本気で国内旅行に取り組む」と意気込んだ。新型コロナ収束後の訪日旅行も見据え、国内基盤を固める。

 
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