観光庁DMO検討会、「関係者間のマネジメント」テーマにヒアリング


第2回検討会(11月28日)

 観光庁の「世界水準のDMOのあり方に関する検討会」(座長・矢ケ崎紀子東洋大学国際観光学部国際観光学科教授)の第2回会合が11月28日に開かれた。日本版DMOの登録法人を対象にしたヒアリングが行われ、八ケ岳ツーリズムマネジメント、秩父地域おもてなし観光公社、山陰インバウンド機構の3法人が「地域の関係者間のマネジメント」をテーマに取り組み状況を説明した。検討会では、DMO法人からのヒアリングを数回実施して今年度末までに中間報告をまとめる。

八ケ岳ツーリズムマネジメント 観光地域づくりマネージャーが活躍

 観光圏整備法に基づく八ケ岳観光圏(山梨県北杜市、長野県富士見町、原村)の推進母体である観光地域づくりプラットフォームを担う組織。この観光圏の3市町村は総務省の地方定住促進プログラムの定住自立圏も形成しており、行政の計画などにも観光圏、DMOの役割が位置付けられている。
地域の関係者間のマネジメントでは、自治体、市町村単位の観光協会、商工会などが出席する定例の戦略会議を月1回開催している。問題意識や戦略の方向性、事業の進捗状況などを共有することで、多様な関係者の合意を形成し、PDCAを機能させるための場となっている。

 分野、事業ごとの合意形成には、圏域内の観光関連企業などから任命され、観光圏整備法に基づいて観光庁の研修を受けた「観光地域づくりマネージャー」が中核的な役割を果たしている。現在12人の観光地域づくりマネージャーがそれぞれ分野、事業の担当を持ち、事業遂行責任者として原則無報酬で活躍する。八ケ岳ツーリズムマネジメントの小林昭治代表理事は「観光地域づくりマネージャー、当法人の理事、行政の担当者が三位一体となり、合意形成を図って事業を進めている」と説明した。

 観光地域づくりマネージャーは、地域住民の合意形成にも貢献。各自のつながりが深い地域の住民などを対象に観光地域づくりへの意識啓発や参画促進を目的にしたワークショップを開いている。ワークショップの合計の開催件数は年間約40回に上る。

秩父地域おもてなし観光公社 既存組織と役割区別、広域事業に特化

 対象地域は埼玉県秩父市、横瀬町、皆野町、長瀞町、小鹿野町。この5市町で形成する定住自立圏の観光連携協定を推進する中核的な組織に位置付けられている。

 地域の関係者間のマネジメントでは役割分担を明確化。同公社は、自治体や既存の観光協会などが実施していない事業だけを手掛ける。具体的な事業は、農泊を中心とした修学旅行誘致、広域レンタサイクル事業、各種ガイド・案内人の連携組織の事務局運営など。

 秩父地域おもてなし観光公社の井上正幸事務局長は「首長や観光協会長などで構成する理事会に事業計画を提出しているが、行政、既存団体と事業の重複を指摘されたことはない。手掛ける事業は地域が連携するものに限っている」と説明。財源も自治体の負担金や委託料、自主事業収益、事業費補助金などで、「会費は取っていない。良い悪いの話ではないが、観光協会の会費との重複を避けた」と話した。

山陰インバウンド機構 域内DMOとの連携、民間参入を促進

 鳥取県、島根県を対象区域としたインバウンドに特化した広域連携DMO。12拠点を結ぶ広域観光周遊ルート「縁の道~山陰~(ROUTE ROMANTIQUE SAN’IN)」のブランド化などで域内の経済活性化を目指している。

 区域内の地域連携DMO、地域DMOとの合意形成では、山陰地域DMO連絡会議を2カ月に1回ほどのペースで開催し、情報を共有し、事業の重複などを回避している。DMOがない地域に対しては設立への支援を行っている。また、ゲートウェイ戦略として岡山・広島、関西、東京などの自治体、航空、空港、鉄道の関係機関との連携も進めている。

 広域にまたがる官民の多様な主体の連携について、山陰インバウンド機構の福井善朗代表理事は「地方ではリソースが限られるので、あらゆる機会を通じて積極的に連携、パートナーシップを組み、リソースを生かし切る必要がある」と指摘。「階層別にシンプルなミッション(誘客、地域支援、消費拡大、経済活性の四つ)を立てることで、パートナーそれぞれが自らのスキルをどこで生かすか、役割を判断しやすくし、参画を促進している」と説明した。


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