観光地 人吉・球磨の復活に向けて 熊本県 県南広域本部 球磨地域振興局長 梅川日出樹


熊本県 県南広域本部 球磨地域振興局長 梅川日出樹氏

 球磨川流域を中心に多くの尊い命を奪い、人吉球磨地域に甚大な被害をもたらした令和2年7月豪雨災害。人吉球磨地域の多くの宿泊・観光事業者が被災されました。

 当時、熊本県は、「熊本地震」「新型コロナウイルス感染症」「令和2年7月豪雨」というトリプルパンチに見舞われました。このような中、熊本県では、この未曽有の災害からの創造的復興に向けて、球磨川の新たな治水の方向性「緑の流域治水」の理念のもと、「令和2年7月豪雨からの復旧・復興プラン」を策定しました。

 旅館・ホテルや飲食店、球磨焼酎の蔵元など、被災事業者の一日も早いなりわいの再建に向けた支援として、熊本地震の経験を踏まえ、発災直後から相談窓口の設置や専門家の派遣など、商工会議所等と連携して伴走型の支援を総合的に実施しました。また、県独自に豪雨版の復興基金を創設し、仮設商店街等の支援を実施したほか、コロナ禍であったことから、国の支援金に上乗せして県が支給する事業復活応援給付金に「豪雨特別枠」を設け、他の地域より手厚く支援を実施しました。さらに、国の「なりわい再建支援補助金」により、500社超の事業再建を支援しました。

 観光施策の面では、被災した人吉球磨地域の観光関係者と定期的に議論を重ね、目指すべき観光復興の在り方について取りまとめ、令和3年3月に「人吉球磨豪雨被災地観光復興戦略」を策定しました。本格的な観光復興のフェーズに入り、現在も定期的に地元関係者と共有しながら、観光地域づくりを進めています。

 その成果として、球磨川での新たなアクティビティの開発や球磨焼酎の販路拡大・観光商品造成、アニメ「夏目友人帳」の影絵などのアニメツーリズムの展開、ひかりの復興プロジェクトによる夜の観光周遊など新たな観光コンテンツが生まれています。

 また、これから国、県、市町村、観光事業者等が連携して、「球磨川リバーミュージアム構想」の取り組みが始まろうとしています。これは、防災と観光復興の観点から、球磨川流域を丸ごと博物館に見立てて、自然や歴史、文化、災害遺構等をつなげて発信する、流域連携・防災力強化・環境教育のフィールドづくりを目指すものです。

 熊本県としても引き続き、「緑の流域治水」の理念のもと、球磨川流域の皆さまとともに被災地の創造的復興を着実に成し遂げていくとともに、人吉球磨地域の真の観光復興に向けて、もう一歩前へ進んでいきたいと思います。


熊本県 県南広域本部 球磨地域振興局長 梅川日出樹氏

 
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