観光庁はこのほど、観光産業の実務人材の確保・育成の参考にしてもらおうと、大学での観光をテーマとした産学連携による先進的な授業について調査し、事例集をまとめた。大学のゼミが観光事業者や観光団体、自治体などと連携し、情報発信や商品企画、事業運営などの調査、提案に取り組んだ近年の具体例21事例を収集。期間が1カ月以上の長期インターンシップに関しても5事例を紹介している。
東洋大学国際観光学部国際観光学科の森下ゼミは、JTB総合研究所と連携し、北海道・道東エリアのアドベンチャーツーリズムの可能性調査などを行った。阿寒での現地研修では、DMOや旅館などを経営する鶴雅ホールディングス、アドベンチャーツーリズムの国際組織などに意見を聞いた。調査結果などは、旅行見本市「ツーリズムEXPOジャパン2018」の中で発表した。
阪南大学国際観光学部国際観光学科の小林ゼミ、李ゼミは、福井県あわら市の地域活性化に向けて宿泊・旅行プランの企画に取り組んだ。市観光協会、阪急交通社と連携。学生が旅館での1週間程度のインターンシップ、地元住民や観光客へのヒアリングを実施し、観光関係者に調査結果などを報告した。
桜美林大学ビジネスマネジメント学群ビジネスマネジメント学類の五十嵐ゼミでは、群馬県・四万温泉の観光振興に関して調査や提案を実施した。四万温泉協会や柏屋旅館などと連携。観光客に対する街頭アンケートなどを実施し、活性化策を提案した。
跡見学園女子大学観光コミュニティ学部の篠原ゼミは、熊本地震の影響で観光客が減少した熊本県の南阿蘇エリアの観光復興に向けた資源発掘やツアー企画などに取り組んだ。地元自治体、ジャルパック、九州地方整備局などと連携。現地調査などを通じて建設中の立野ダムのインフラツーリズムなどを企画した。
立教大学観光学部観光学科の庄司ゼミは、長野県・志賀高原の観光振興をテーマに現地で飲食店を運営した。志賀高原リゾート開発、志賀高原観光協会などと連携。学生たちが夏の観光客をもてなすカフェの運営などに取り組んだ。
この他に長期インターンシップの事例で、熊本学園大学、東洋大学、明海大学、沖縄観光コンベンションビューロー・琉球大学、コーディネート事業者の御祓川(石川県七尾市)の取り組みを紹介した。