日本旅館協会、簡易宿所の入会可能に 


日本旅館協会の通常総会

会員資格改正 観光立国に寄与、施設要件合数で

 日本旅館協会(北原茂樹会長)は、11日に開いた通常総会、理事会で会員資格を改正した。一定の施設要件に合致し、「観光立国の推進」に寄与する意思を持つことなどを条件に、簡易宿所営業の施設の入会を可能にした。併せて改正旅館業法で旅館営業、ホテル営業の種別が統合され、構造・設備などの規定が見直されたことを踏まえ、これまで旅館営業で5室以上、ホテル営業で10室以上となっていた最低客室数の規定などを撤廃した。

旅館業法改正に対応 最低価格室数の基準も撤廃

 簡易宿所の入会を認めることで会員数の増加につなげる。協会設立時(2012年10月)には3381会員だったが、今年4月には2528会員。通常総会で北原会長は「6年間で会員数が2割強減少している現実を踏まえて、簡易宿所の営業許可を有する方にも入会していただく。ただし、会員資格に適合した簡易宿所であり、基準は細かく定める」と説明した。

 会員資格の見直しの契機は、旅館業法の改正。昨年6月施行の改正旅館業法では、営業種別が「旅館・ホテル営業」に統合されたほか、最低客室数の基準(旅館営業5室、ホテル営業10室)が撤廃され、1室からの営業も可能となった。この他にも政省令の改正などで、フロントなどの設備基準が緩和されていた。

 会員資格の改正案は、政策委員会(担当・浜野浩二副会長=北海道・定山渓グランドホテル瑞苑、相原昌一郎委員長=静岡県・新井旅館)で詳細を検討した。11日の通常総会で定款変更を全会一致で承認。総会に先立つ理事会で会員資格基準規定の改正を承認していた。

 変更後の定款では、会員資格について「正会員は会員資格基準に適合する旅館・ホテル業および簡易宿所業を営む者で、支部連合会の長の推薦を受け、入会申込書を会長に提出し、承認を得た者」と定めた。詳細を定めた会員資格基準規定への合致を条件に簡易宿所営業の施設の入会を認めることにした。

 新たな会員資格基準規定では、「会員資格」に「会員は、日本および地域固有の文化の継承と活用を行い、観光立国の推進に寄与すること」などを追加。「接客サービス」の基準には、「外国人旅客を含むすべての旅客に充分満足を与えること」の文言も盛り込んだ。協会設立の経緯や国際観光ホテル整備法の趣旨などを踏まえた。

 「施設要件」の基準では、最低客室数や、一定の要件を設けていた「基準客室」の考え方を撤廃した。旅館・ホテル業、簡易宿所業ともに1室の客室の床面積は9平方メートル以上と定めた。ただし、既存の会員施設は、規定改正前の「基準外客室」の床面積などは従来通りでも問題ない。

 フロントに関しては、改正旅館業法の政省令などで定められた基準に沿って、ビデオカメラによる顔認証などの本人確認機能を持ったICT設備を代替設備として認める。ロビーは、利便性が高い場所に適当な広さでの設置を求める。

 会員資格の改正で、5室未満の旅館や10室未満のホテルの入会、簡易宿所の入会が可能になった。日本旅館協会では、会員資格基準に合致する施設に協会の理念や事業、会員メリットなどをPRして、入会を募っていく考えだ。

日本旅館協会の通常総会

 

 
新聞ご購読のお申し込み

注目のコンテンツ

第37回「にっぽんの温泉100選」発表!(2023年12月18日号発表)

  • 1位草津、2位下呂、3位道後

2023年度「5つ星の宿」発表!(2023年12月18日号発表)

  • 最新の「人気温泉旅館ホテル250選」「5つ星の宿」「5つ星の宿プラチナ」は?

第37回にっぽんの温泉100選「投票理由別ランキング ベスト100」(2024年1月1日号発表)

  • 「雰囲気」「見所・レジャー&体験」「泉質」「郷土料理・ご当地グルメ」の各カテゴリ別ランキング・ベスト100を発表!

2023 年度人気温泉旅館ホテル250選「投票理由別ランキング ベスト100」(2024年1月22日号発表)

  • 「料理」「接客」「温泉・浴場」「施設」「雰囲気」のベスト100軒