富裕層の誘客学ぶ 日本旅館国際女将会が定例会


ルートアンドパートナーズ代表取締役の増渕氏が講演

 日本旅館国際女将会(長坂正惠会長、事務局=観光経済新聞社)は3月26日、3月定例会を東京都千代田区のセンチュリーコート丸の内で開いた。全国から会員の女将ら30人が集まった。

 ルートアンドパートナーズ代表取締役の増渕達也氏が「日本旅館の国内外富裕層誘客~気づきを多くする方法~」で基調講演。昼食会を挟んで、重要文化財「明治生命館」を見学した。

 増渕氏は電通の雑誌局出身で、富裕層マーケティング事業が専門。国内外に2万7千人の富裕層顧客を持ち、2020年には欧米豪アジア富裕層向け旅行会社を設立した。コンサルティングだけではなく、プレーヤーとしての実業も行っている立場で、さまざまな角度から富裕層旅行客の獲得法を指南した。

 増渕氏は「富裕層は自身で会社を経営しているビジネスオーナーでもあるケースが多い。当社ではビジネスオーナーとしての悩みとプライベートな悩みへの相談対応と問題解決支援を行っている」と述べ、エンゲージメント獲得の秘訣を披露した。

 その上で「ラグジュアリートラベルの本質は、ヒューマンコネクションによる『圧倒的な差』を体験することだ。そのためには、相手の国、民族が知っていることに合わせて旅程を練る必要がある。例えば、国民皆兵のイスラエルが学校の教科書で日本人について学ぶことは『米国ユダヤ人協会会長のJHシフが日銀副総裁の高橋是清の求めに応じて日露戦争の戦時国債を引き受けたことが日本の勝利の一因となった。根底にはロシアでの反ユダヤ主義があった。日露戦争後、シフは日本政府に招聘(しょうへい)され、船で横浜に着き、グランドホテルに宿泊し、皇居で明治天皇から最高勲章の勲一等旭日大綬章を贈られた』ということ。つまり、ミシュランのスポット巡りではなく、明治神宮に長期滞在できるエクスペリエンスの提案が有効打となる」と富裕層向け企画の作り方の一例をヒントとして伝授した。

 さらに「日本でしか体験できないエクスペリエンスを、深く、シンプルに、が王道。当社の場合、各地域ゆかりの偉人、あなたの国の恩人を『スーパージャパニーズ』と定義して、現在のご家族等と唯一無二のヒューマンエクスペリエンスを造成。ターゲット国、ターゲット産業ごとに観光を基軸とした地域商品として用意している。例えば、ユダヤ民族に命の査証を発行した杉原千畝氏のゆかりは、岐阜、鎌倉、名古屋、桑名。米国に桜を寄贈した高峰譲吉氏のゆかりは富山、金沢。台湾でダム建設を指揮した八田與一氏のゆかりは金沢。孫文の辛亥革命のスポンサーだった梅屋庄吉氏のゆかりは、長崎、壱岐といった具合だ。現在までにスーパージャパニーズ65人をリストアップしている」と紹介。

 増渕氏は最後に「お、これは借りを返さなきゃな。ルーツにも迫ることができそうだな。などと、どうしても日本を訪れなければならないと思わせることができなければ、富裕層は他国を訪れてしまう」と強調した。


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