宿泊業、技能実習の対象職種へ 観光庁も認定支援


 外国人材の就労拡大に向けて新たな在留資格の創設を盛り込んだ出入国管理法の改正案が、今国会で審議されている。11月21日の衆院法務委員会では、新たな在留資格との関連で、技能実習法に基づく「技能実習2号」移行対象職種への宿泊業の追加が取り上げられた。答弁で観光庁の金井昭彦審議官は「宿泊業が追加されるよう宿泊業界、関係省庁と連携して取り組む」と述べた。宿泊業団体では新たな在留資格への対応と並行して、技能実習の対象職種化への手続きを進めている。

 政府が来年4月の創設を目指す新たな在留資格「特定技能1号」は、家族の帯同は認められないが、在留期間は最長5年。「相当程度の知識または経験を要する技能」や一定の日本語能力を持つ外国人が対象。受け入れは人手不足が深刻な業種に限られ、政府では宿泊業を含む14業種を対象に検討している。

 一方の技能実習法に基づく技能実習生の受け入れは、国際貢献のために開発途上国の人材を一定期間雇用して日本の技能を移転する制度。新たな在留資格との関係では、通算3年の実習期間を終えた「技能実習2号」修了者が、試験なしで「特定技能1号」に移行できる制度案となっている。

 新たな在留資格の受け入れ対象として検討されている14業種のうち、ほとんどの業種が「技能実習2号」移行対象職種に認定され、すでに技能実習生を受け入れているが、宿泊業は対象職種の認定を受けていない。

 宿泊業界では、日本旅館協会、全国旅館ホテル生活衛生同業組合連合会、日本ホテル協会、全日本シティホテル連盟の4団体が「宿泊業外国人労働者雇用促進協議会」を立ち上げ、新たな在留資格への対応と併せて、「技能実習2号」移行対象職種への認定を目指している。現在、所管の厚生労働省に対して認定申請手続きを進めている。

 衆院法務委員会の答弁で観光庁の金井審議官は、宿泊業の「技能実習2号」移行対象職種への追加について「わが国の宿泊業は、きめこまやかなサービスや清潔感に特徴があり、おもてなしの精神に根差した接客や衛生管理の技能は旅行者の快適性や安全安心の確保に大きな役割を果たしている。開発途上国では観光が重要な産業である場合が多く、これらの国々では日本の宿泊業に関する技能を習得するニーズが高い」と述べ、宿泊業界の取り組みを支援する考えを示した。

 宿泊業4団体は11月26日、「技能実習2号」移行対象職種への認定に必要な厚労省の専門家会議の1回目の意見聴取を受けた。複数回の意見聴取やパブリックコメント(意見公募)などを経て、技能実習法の施行規則が改正されると、対象職種に追加される。宿泊業4団体では来年4月までの認定を目指している。

 「特定技能1号」「技能実習2号」のいずれに関しても、外国人が在留資格を取得するには業界に技能試験が整備されている必要があることから、宿泊業4団体では、今年9月に共同で「一般社団法人宿泊業技能試験センター」を設立し、試験運営業務の準備を進めている。   

 
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