帝国データバンクはこのほど、全国企業対象の景気動向調査の5月分を公表した。同月の景気DI(0~100、50が判断の分かれ目)は前月比1.4ポイント減の45.4と、6カ月連続で悪化した。米中貿易摩擦の激化、大型連休に伴う悪影響の表面化で「国内景気は後退局面入りした可能性がある」(同社)。業種別では、旅館・ホテルが同9.0ポイント増の50.0と、5カ月ぶりに上昇した。
51業種中、DIが上昇したのは10業種。このうち旅館・ホテルは9.0ポイント増と、上昇幅が最も大きかった。
10の業界別では、全てが悪化した。大型連休で企業の稼働日数が減り、売り上げが減少。人手不足やコスト負担も悪材料となった。
このうちサービスは同1.0ポイント減の50.6と、2カ月連続で悪化。サービス15業種では旅館・ホテルなど6業種が上昇、9業種が悪化した。旅館・ホテルは大型連休の需要増に伴う客室単価の上昇が寄与した。
10の地域別では、全てが悪化した。東京23区や大阪市など大都市圏の落ち込みが全体を押し下げた。
規模別では、大企業、中小企業、小規模企業の全てが悪化した。
10業界、10地域、3規模の全てが悪化するのは東日本大震災が発生した2011年3月以来、8年2カ月ぶり。
景況感に関する企業の主な声は次の通り。
「客室単価が前年を上回った」(現在、良い、旅館)。
「ゴールデンウイーク明けで出費を控えている」(現在、悪い、日本料理店)。
「インバウンドの消費が落ちてきている」(現在、悪い、精密機械器具卸売)。
「ホテルの新規着工物件がまだ多くあり、万博に向けた設備投資も考えられる」(先行き、良い、電気配線工事)。
「インバウンド需要が好調」(先行き、良い、不動産代理・仲介)。
「主要産業である観光の好調が続きそう」(先行き、良い、自動車<新車>小売)。
「特にインバウンド需要の増大で、往来が増えると予想」(先行き、良い、旅行代理店)。
「働き方改革による労働力不足で売り上げが低迷」(先行き、悪い、一般乗用旅客自動車運送)。