人力車を引く関森さん（東京・浅草で）
東京・浅草で人力車を引く関森ありささんは、コミュニティＦＭ局のラジオＤＪ・パーソナリティーと車夫の“二刀流”。大学4年生のときに始めて、コロナ禍を乗り越え、車夫歴は6年になる。自慢のトーク力を生かし、観光客でにぎわいの戻った浅草を走る。
東京都江東区出身の26歳。就職活動時、テレビ局のアナウンサーを志望する中で、自己ＰＲの材料になれば、と軽い気持ちで人力車の世界に飛び込んだ。研修中には人力車をひっくり返したこともあったが、今でははんてん、地下足袋で軽快に人力車を操る。
大学卒後、東京・豊洲にメインスタジオを持つ「レインボータウンＦＭ」に入り、パーソナリティーやディレクターとして働く。以来、車夫とのダブルワーク。ラジオ番組では、東京をはじめ各地の観光の魅力を紹介することも。番組のリスナーが人力車に乗りに来ることもあれば、人力車を引きながら番組を収録することもある。
人力車の仕事は週4日ぐらい。外国人客も多く、お薦めの「映えスポット」を紹介して喜ばれたりしている。「海外の方を含めて観光客が戻ってきたなと実感します。コロナのとき、いつでもにぎわっている雷門前に人がいなくてとても悲しかった。浅草をご案内できることのありがたさをいま改めて感じています」。
所属する観光人力車の会社「天下車屋」は、浅草以外にも姫路（兵庫県）で営業しており、毎年夏には姫路でも人力車を引いている。
「人力車の仕事の魅力は、地域への愛着を表現でき、自身の個性を出せるところ。私の場合は、ラジオの仕事を生かしたフリートークを大切にしています。女性の車夫も少しずつ増えてきましたが、もっと増えてほしい。一緒に浅草を盛り上げていきたい」。
人力車を引く関森さん（東京・浅草で）
