【VOICE】ユニバーサルツーリズム JTBデータサービス 代表取締役社長執行役員 大八木勢一氏


JTBデータサービス 代表取締役社長執行役員 大八木勢一氏

障がい者と社会をつなぐ

 日本では、ユニバーサルツーリズムの対象となる人が年々増加しています。

 ユニバーサルツーリズムとは「すべての人が楽しめるよう創られた旅行であり、高齢や障害などの有無にかかわらず、誰もが気兼ねなく参加できる旅行」のことです。

 わが国の総人口は減少している一方、65歳以上の高齢者人口は3627万人と過去最多となりました。総人口に占める割合は29.1%でこちらも過去最高です(2022年9月15日現在推計)。また、厚生労働省によると、日本国内の障害者の総数は1160万人で、これは総人口の9.2%に相当する数です。

 上述の通り、すでに日本の人口の3割以上がユニバーサルツーリズムの対象者であり、間違いなく今後も拡大していくといえます。さらに訪日外国人が加わることにより、観光業にとって今後、大きなマーケットに発展していく可能性があるのではないでしょうか。

 一方で、一般的には年齢の上昇とともに気力や体力が衰え、思うように外出できなくなり旅行頻度は減少します。70歳以上の約3割は健康上の理由で旅をしないといわれています。仮に70歳以上が60代の旅行回数を維持することができれば、国内旅行市場は活性化していくでしょう。高齢者や障害者の方々が継続して旅行に行けるような環境を整えていくことが今後の国内旅行市場の鍵を握ると感じています。

 観光庁はこれらの環境整備の一つとして、観光施設や宿泊施設に対して「心のバリアフリー認定制度」の取得を推奨しています。高齢者や障害者がより安全で快適な旅行をするための環境整備を推進することを目的としており、バリアフリー対応や情報発信に積極的に取り組む姿勢のある観光施設には、観光庁が定める認定マークが交付されます。2023年3月2日現在、515件の施設が認定され、施設数は毎年増え続けています。

 当社では認定取得に向け、バリアフリーに関する教育研修や障害別理解セミナーの実施のほか、バリアフリーに対応した各種備品の紹介などのアドバイスを行っています。また、施設のバリアフリー情報も当社HP上で掲載を開始しました。将来的には、動画撮影を盛り込むなど、高齢者および障害者にとって快適な旅行のお役に立てるような「旅行情報サイト」としての価値を見いだしていきたいと考えています。

 われわれは「障害者と社会をつなぐ」ことを社のビジョンとして掲げ、多くの障害者とともに日々働いています。障害者雇用に関すること、お客さまへの対応に関することなど、お気軽にご相談ください。

 

 
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