【体験型観光が日本を変える 85】不戦の誓いを新たに 体験教育企画社長 藤澤安良


 猛烈な暑さが続いている。熱中症注意報が続いており、救急搬送される熱中症患者が後を絶たない。これはもはや災害に近い状況である。そんな中、甚大な被害を出した西日本豪雨からの復旧は、公的組織のスタッフのほか、ボランティアなどが連日活動を続けているが、あまりにも大量の土砂と、猛暑に阻まれて苦戦が続いている。体調に気づかいながら進めてほしいものである。

 この暑さは日本だけではない。韓国でも41度を記録し、ヨーロッパでは48度に迫るなど地球規模での異常気象が続く。この異常が繰り返されると通常となる。突発的な自然災害は防ぎきれないこともあるが、この災害の経験を生かさなければならない。この気候変化の原因を究明し、人類相互にその対策に向かわなければならない。CO2排出量の削減もその一つである。

 広島に続いて、長崎でも原爆投下から73年目の暑い夏を迎えようとしている。新聞報道によると、元日本兵の証言から、米軍の原爆投下機が8月6日未明にテニアン島を飛び立ち、西日本に向かう動きを傍受していた。長崎に投下された8月9日も同様に通信を傍受し参謀本部に伝えたが、いずれも空襲警報などの対応がなされなかったという。いつの時代も上に立つ組織や人物の指示、采配が大きな影響を与えることの証でもある。

 不用意で配慮に欠ける国会議員の発言、不祥事が続く官僚や大学、責任の所在があいまいで疑念が払拭されないスポーツ界。社会の範となるべきはずの立場の組織や人物であるが、その言動は到底、国家国民や住民、あるいは学生のためを思うのではなく、自分の利権、保身、面子に終始する。大局観のない姿は極めて残念である。高校総体でのボクシング開会式の報道では、その場にそぐわない場面があり、いろいろな問題が明らかになった。

 スポーツに青春をかける若者に真っ当な環境を与えることこそ大人の責任である。生徒もスポーツのみならず、夢中になること、打ち込めるものを持ってほしい。それは同時に仲間や人間関係の幅を広げることになる。親の影響から何に打ち込むべきか見つかる場合もあるが、遊びもスポーツもしなければ、何が得意で何がやりたいのか見つからないかもしれない。

 子どもには、遊びも含めてあらゆる体験が必要である。学校教育現場は当然ながら、夏休みは絶好の機会だ。親にその必要性を感じさせるためのハードルは高いが、地域コーディネート組織や旅行業界が学校教育マーケットのみならず、幼児教育や家庭教育の不足を補う企画を商品化すべき時である。日本社会がどうあるべきか、そのマーケット創造から始めるべきである。

 5日、歴史を重ねること100回の全国高校野球の記念大会が甲子園で始まった。入場行進のひたむきで純粋な球児の勇姿は平和の証でもある。戦争は防げるはずであり、終戦記念日を間もなく迎えるこの夏も、不戦の誓いを新たにする機会としなければならない。

 
新聞ご購読のお申し込み

注目のコンテンツ

第37回「にっぽんの温泉100選」発表!(2023年12月18日号発表)

  • 1位草津、2位下呂、3位道後

2023年度「5つ星の宿」発表!(2023年12月18日号発表)

  • 最新の「人気温泉旅館ホテル250選」「5つ星の宿」「5つ星の宿プラチナ」は?

第37回にっぽんの温泉100選「投票理由別ランキング ベスト100」(2024年1月1日号発表)

  • 「雰囲気」「見所・レジャー&体験」「泉質」「郷土料理・ご当地グルメ」の各カテゴリ別ランキング・ベスト100を発表!

2023 年度人気温泉旅館ホテル250選「投票理由別ランキング ベスト100」(2024年1月22日号発表)

  • 「料理」「接客」「温泉・浴場」「施設」「雰囲気」のベスト100軒