訪日インバウンド対応で言葉と情報の壁なくす
パブリックディスプレイやプロジェクターなどの映像表示装置を活用したソリューションを提案するNECディスプレイソリューションズ。旅館・ホテルなど観光市場に対する商品展開の方針を国内販売本部本部長の望月一栄氏に聞いた。
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――まず貴社の事業概要からうかがいたい。
「NECグループの中で映像商品をメインに扱っている会社だ。現在、『働き方改革』『安全・安心』『おもてなし』『経営基盤強化』をIT投資のキーワードとしている」
――観光市場に対しての展開は。
「特に『おもてなしソリューション』を提案している。おもてなしソリューションで意識しているのは訪日インバウンドへの対応で、『言葉の壁』や『情報の壁』をなくしていこうというのが大きな方向性だ。言葉の壁は、多言語による音声翻訳サービスや多言語音声案内、あとは施設・観光案内がある。情報の壁をなくす部分では、デジタル情報スタンドや、フリーWi―Fiといった接続環境、免税対応ソリューションなどを市場に提供している」
――具体的にどんな商品を扱っているのか。
「サイネージの基本モデルとなるのが、デジタルサイネージキット『美映(ミハ)エル』だ。ディスプレイ部とスタンド部の構成で、小売り、飲食業の小規模店などに据え置いて利用でき、手軽に導入することが可能。商品単独の利用に加え、小規模なネットワークで複数台を管理することもできる」
「多言語対応のデジタル情報スタンドが『PONTANA(ポンタナ)』。旅行会社で配布するツアーカタログや、自治体の庁舎や観光案内所で配布する名所紹介パンフレットを電子データでサーバー内に収納し、利用者は大型ディスプレイに表示されているコンテンツをタッチすることで手軽に自身のスマートフォンやタブレットにコンテンツをダウンロードして持ち歩ける。ダウンロード機能によって、集客・回遊効果が期待できる『ポイントラリー』や、建造物や敷地を立体的な視野で確認できる『名所などのVR(バーチャルリアリティ)コンテンツ』も配布できる」
「小規模な施設でもデジタルサイネージのクラウド型サービスを導入しやすいのが、年間利用ライセンスをパッケージ化した『PanelDirector for Cloudサービスパッケージ』。期間限定の運用や試験的な実証など、初期費用や設備投資を最低限で実施でき、システムメンテナンスやセキュリティ対策も容易に行える」
――競合他社のデジタルサイネージ商品と比較した際の優位性は。
「当社の強みは、世界ナンバーワンの精度、速度を誇るNECの顔認証技術を使用した商品やサービスをはじめ、VRを活用したコンテンツから、導入したサイネージの運用支援、ネットワークの構築、保守に至るまでのトータルソリューションを提供できること。お客さまの導入効果の最大化に貢献する」
――顔認証技術を活用した商品とは。
「観光地や宿泊施設などで活用できるのが『ターゲット広告サイネージソリューション』。これは顔認証システムとデジタルサイネージを連携させることで性別、年齢層を見分けてターゲット層に合ったコンテンツをタイムリーに表示することが可能で集客増や購買増につながるシステムとして期待できる。また表示情報をログ収集し、リアルタイムでのグラフ表示による来場者の情報把握や傾向分析なども可能だ」
「顔認証を使った情報提供システムのもう一つは『ウェルカムサイネージ』。前もってお客さまの顔を登録することで、ホテルや旅館にディスプレイを設置して、常連のお客さまがその前に立つと、『○○様、いらっしゃいませ。また来ていただいて、ありがとうございます』というように特別なメッセージで歓迎することが可能だ。本システムは本年1月より提供を開始する」
――年頭にあたり観光業界へメッセージを。
「訪日インバウンドは2017年に2800万人になると見込まれている。20年4千万人、30年に6千万人という目標があって、そうした目標に向けて『映像』はまだまだ世の中に貢献することができると思う。当社は『おもてなしソリューション』をキーワードとして、お客さまの目線に立ってより良いものをご提供し、お客さまの満足度の向上に努めていきたい」