【データ】在宅勤務における健康状態と生産性調査


 エンフィールは8日、「在宅勤務における健康状態と生産性調査」の結果を発表した。

株式会社NTTドコモとエムスリー株式会社のジョイントベンチャーである株式会社empheal(エンフィール:代表取締役 西口孝広、本社:東京都千代田区、以下、「empheal」)は、新型コロナウイルス感染症の状況下における企業の在宅勤務状況とその健康状態、仕事への集中力などのパフォーマンスに関連する調査結果を公表いたしました。emphealでは、企業における健康経営支援と新型コロナ感染予防を目的に、企業・団体と連携する「STOP!新型コロナ ~Stay Home For All~ 」プロジェクト*1を2020年5月1日より実施しており、その一環として提携企業の従業員へ調査した結果を公表するものです。

この分析では、在宅勤務率80%以上の従業員を解析対象として、在宅勤務以前の状況との比較を調査いたしました。

その結果、
●若年層で、集中力・モチベーションが低下気味
●コミュニケーション機会が減ると、モチベーションが減少
●疲労感の蓄積は、やはりストレス面にも影響
●首肩腰の痛い人、目が疲れている人が続出
等を示唆する分析結果が得られました。

緊急事態宣言は解除されましたが、新型コロナウイルスを想定した『新しい生活様式』が求められる時代を、個人も企業も力強く生き抜いていくために、emphealでは、引き続き「STOP!新型コロナ ~Stay Home For All~ 」プロジェクトの取り組みを推進し、多くの企業・従業員に対し、在宅勤務時代の健康課題の可視化と具体的な解決策をお手伝いしてまいります。

<調査概要>
調査主体 : 株式会社empheal
調査期間 :2020年5月14日~5月28日
調査手法 : WEBアンケート
調査対象 : 「STOP!新型コロナ ~Stay Home For All~ 」プロジェクトに参加頂く
企業のうち調査を希望頂いた企業の従業員

(前提条件)調査に応じて頂いた企業に勤める従業員のうち、在宅勤務率80%以上の従業員を対象とし、最終的に2,201名のデータを分析した。

<調査結果のサマリ>

  1. 在宅勤務による集中力・モチベーションの低下は、若年層において相対的に多い傾向が見られた
  2. 業務に対する集中力・モチベーションの低下は、業務上のコミュニケーションの減少・業務量や業務時間の減少と関連している可能性が示唆された
  3. 業務に対する集中力・モチベーションが低下している従業員は、全身的なだるさ、疲れ、倦怠感の増加を経験している割合が高く、また、全身的なだるさ、疲れ、倦怠感が増加している従業員はストレスを示す要素が全体的に高い傾向を示した
  4. 調査対象者全体において、腰・肩・首すじのこり・痛みや、眼精疲労を自覚する従業員の割合は半数を超えており、長期化することで業務に対する集中力・モチベーションの更なる低下リスクが懸念される

<調査結果詳細>

  • 1. 若年層で、集中力・モチベーションが低下気味

在宅勤務環境に変化したことにより、活動自粛となった2020年2月以前と比較して、『業務に対する集中力・モチベーション』(以下、モチベーション)への変化をお聞きしました。

その結果、図1に示す通り、『モチベーション』が増加したと回答した方は16%に留まり、一方で、34%と約2.1倍の方が『モチベーション』が減少したと回答しました。この『モチベーション』は、業務の生産性・パフォーマンスに直結する要素であることから、今回の調査対象となった企業では、活動自粛以前に比べて生産性が低下したことが推察されます。

なお、この『モチベーション』の変化を年代別で分計したのが、以下の図2です。傾向としては、いずれの年代においても『モチベーション』が増加した方の割合はほとんど変化がないものの、『モチベーション』が減少した方の割合は、最も若い20代をピークに、40代に向けて低下する右肩下がりの傾向を示しています。

また図3に示すように、SNS等を利用したWEB・テレコミュニケーションの非利用率は、20代では2%と非利用者はほとんどいないのに対し、40代に向けて非利用者が増加していきます。つまり、20代・30代は、40代・50代と比較して相対的に日常的な遠隔コミュニケーションと親和性が高いと推察されます。しかし、今回の調査結果では遠隔コミュニケーションの利用傾向と裏腹に、図2が示すとおり、20代・30代の若年層は、40代・50代と比較して『モチベーション』が減少したという回答が多い傾向が認められました。本調査で認められた『モチベーション』の変化は、ITリテラシーや普段からの遠隔コミュニケーションの親和性にかかわらず生じていることが考えられます。

 

 

  • 2.コミュニケーション機会が減ると、モチベーションが減少

『モチベーションが減少した群』(以下、モチベーション減少群)と、『モチベーションが減少していない群』(以下、モチベーション増加群)に分類し、他の調査項目と関連の強い要因を分析しました。その結果、図4・図5に示す通り『業務に関するコミュニケーション』と『業務時間・業務量』との関連が特に示唆されました。

図4では、モチベーション減少群・増加群それぞれに対し、『業務に関するコミュニケーション』が減少したか、そうでないか(維持、または増加)を分類しました。その結果、モチベーション増加群では、『業務に関するコミュニケーション』の減少は36%に留まりました。これに対し、モチベーション減少群では、『業務に関するコミュニケーション』の減少は80%であり、約2.2倍の方が『業務に関するコミュニケーション』が減少したと回答していました。

図5では、同様にモチベーション減少群・増加群それぞれに対し、『業務時間・業務量』が減少したか、そうでないか(維持、または増加)を分類しました。その結果、モチベーション増加群では、『業務時間・業務量』の減少は21%に留まりました。これに対し、モチベーション減少群では、『業務時間・業務量』の減少は52%であり、約2.5倍の方が『業務時間・業務量』が減少したと回答していました。つまり、『業務に関するコミュニケーション』と『業務時間・業務量』の変化は、『モチベーション』の変化に関連する因子となっている可能性が示唆されました。

  • 3.    疲労感の蓄積は、やはりストレス面にも影響

『全身的なだるさ、疲れ、倦怠感』(以下、全身倦怠感)について、『モチベーション』との関連を検討しました。図6では、前項同様に、モチベーション減少群・増加群それぞれに対し、『全身倦怠感』が増加したか、そうでないか(維持、または減少)を分類し、その結果、モチベーション増加群では、『全身倦怠感』の増加は33%に留まったのに対し、モチベーション減少群では、『全身倦怠感』の増加は55%であり、約1.7倍の方が『全身倦怠感』が減少したと回答していました。

また、『モチベーション』の変化にかかわらず、この『全身倦怠感が増加した群』(以下、全身倦怠感増加群)と、『全身倦怠感が増加していない群』に分けて、それぞれストレスとの関連する設問を対比したのが、図7です。この結果の通り、いずれの設問においても全身倦怠感増加群の方が高い傾向を認め、『モチベーションの減少』と、『全身倦怠感の増加』、そして『ストレス要素の増加』は関連していると推察されます。

  •   4.首肩腰の痛い人、目が疲れている人が続出

『腰・肩・首すじのこり・痛み』(以下、疼痛)を抱える方の増加割合、そして『目の疲れ』(以下、眼精疲労)を抱える方の増加割合は、これまで分析の軸としてきた『モチベーション』の増減に関わらず、図8・図9が示すとおり、いずれも50%を超えていました。この課題は、在宅勤務を取り組む従業員の半分以上に影響が出ていることがわかります。

特に、疼痛はプレゼンティーズムと深い関係*2にあると言われており、この疼痛や眼精疲労の慢性化は、更なる集中力・モチベーションの減少に影響し、プレゼンティーズムの悪化リスクとなることが想定されます。この影響は、現在高い集中力・モチベーションを発揮している方にも及ぶことが想定されるため、対策は幅広く行われることが求められます。

 

【今後の活動予定】

新型コロナウイルスを想定した、いわゆる『新しい生活様式』を実践していくための過渡期である現在、在宅勤務スタイルを定着化させ、そのうえで高い生産性をめざすことは企業の重要な課題だといえます。この過渡期においては今回示された課題に限らず、様々な健康課題・企業課題が生じていくものだと想定されます。

emphealは引き続き、今回の調査分析をより拡大し、より効果的な調査分析に資するよう改善に努め、更には必要な解決策をご支援して参ります。

多くの企業・従業員の方が、この調査分析と各種解決策を通じて、健康課題の可視化と改善を得て、『新しい生活様式』のうえで活き活きとした活動、事業を実施していけるよう、「STOP!新型コロナ ~Stay Home For All~」プロジェクトとemphealの活動を通じて社会に貢献して参ります。

*1:「STOP!新型コロナ ~Stay Home For All~」プロジェクト
2020年5月1日に新型コロナ感染予防を幅広い企業で結束し実施することを目的に発足
https://empheal.co.jp/stop_corona/

*2:(出典)経済産業省 健康経営 オフィス レポート
https://www.meti.go.jp/policy/mono_info_service/healthcare/downloadfiles/kenkokeieioffice_report.pdf


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