JTB取締役常務執行役員 ビジネスソリューション事業本部長 大塚雅樹氏に聞く

  • 2022年6月7日

JTB取締役常務執行役員 ビジネスソリューション事業本部長 大塚雅樹氏

M&Eのリアル開催に重点

SDGsの課題解決も支援

 

 企業活動の課題解決に資する、幅広いソリューションを提供することで顧客の持続的な発展に貢献するビジネスソリューション事業について取締役常務執行役員ビジネスソリューション事業本部長の大塚雅樹氏にいた。

 ――21年度はどういった取り組みを行った。

 「われわれは、『ABM(アカウント・ベースド・マーケティング)』を事業推進戦略の根幹として進めている。ABM戦略とは、ターゲットとして定めたお客さまを取り巻く環境や業界動向を把握し、お客さまの企業活動などに関する課題解決に徹底的に寄り添うという戦略だ。コロナ禍の影響で、ABM対象顧客においては、インセンティブ旅行、表彰式などの実施が中止もしくは延期となったため、非常に厳しい1年だった。そうした中でも、社員対象で実施した職域接種では、われわれがABM戦略推進において重点顧客としている7社のうち、複数社の職域接種に携わった。このことはコロナ禍で顧客との関係性強化という意味で、今後につながる取り組みであったと捉えている」

 ――22年度の市場環境をどう捉えているか。

 「21年度後半から、企業はコロナ後を見据え、ミーティング、イベント開催に向けた意識が高まってきた。それまでの、相談はオンライン開催が主であったが、リアル開催、またはリアルとオンラインのハイブリッド開催に移ってきている。ハイブリッド開催の表彰式では、表彰対象100人のみリアルで参加し、その他の参加者はオンラインで参加をするといった形がその事例だ。また、4月以降はリアル開催に関する相談が増えてきている」

 「リアル開催では、表彰対象者が一つの場所に集い、互いにダイレクトコミュニケーションをする。そのことでより高い効果が生まれる。この2年間はリアルで集うことができなかったため、リアル開催に対する要望はピークに達している」

 「旅ホ連会員の旅館・ホテルの宴会場を利用したミーティングの相談も徐々に入り始めている。今の環境下において、企業側には社員相互のコミュニケーションに関する課題が顕在化しているため、畳の上のダイレクトコミュニケーションの場で胸襟を開いて話し合ってほしいというニーズがある」

 ――ビジネスソリューション事業での取り組みは。

 「われわれのソリューションの軸は、『M&E(ミーティング&イベント)』と『EVP(従業員価値提案)』だ。一番の収益源であるM&Eでは、企業のニーズをくんでリアル開催に重点を置く。リアル開催を行うということは、日本中、あるいは海外からお客さまが集うということだ。その結果、移動や宿泊、食事が伴ってくる。徹底的に強化していきたい」

 「EVPでは、社員が会社に求める内容が多岐にわたっている中で、会社がそれらに対して応えるお手伝いをする。例えば、社員成長を目的としたプログラムや研修を提案する。また、社員対象の意識調査を実施し、その結果を基にコンサルティングを行う」

 「また、地域創生に取り組んでいる地域に対し、何かお役に立ちたいと考えている企業は少なくないが、それら企業と地域をつなぐ役割もわれわれにとって重要な事業の一つと捉えている。その二つをつなぐ『共創』事業では、ABM対象顧客に対する提案に力を入れ、持続可能な社会の実現に貢献していく」

 「M&EとEVPに横串を刺すソリューションとして周年事業の獲得にも力を入れる。企業には、コロナ禍で実現できなかった周年イベントを今年中に開催したいという思いがある。23年に周年を迎える企業も、今年から社員研修を行ったり、事前のプロモーションを実施する動きが出ている」

 「もう一つは、世界中で高まるSDGsに対するお客さまが抱える課題の解決に対する取り組みだ。例えば、お客さまが有する『どうすれば持続可能な社会を実現できるのか』といったテーマの検討過程から関わり、その実現に向けてお客さまと一緒に取り組む。また、先ほどの共創の取り組みの中で、例えば自然を荒さずにアドベンチャー・ツーリズムを実現するといった観光地の課題に対して、その課題解決を支援したいと考えている企業をSDGsやサスティナブル社会の創造というキーでわれわれがつなぎ、三方よしの関係をつくることなどで実現する」

 ――旅ホ連に対して求めることは。

 「今後、企業のお客さまに旅ホ連加盟の宿泊施設を提案していく上で、SDGsは絶対に欠かせない条件になると感じている。今年度に入り、お客さまから施設提案理由を説明する際にその施設がSDGsにどのように取り組んでいるのかを聞かれるケースが出てきた。このことは、昨年までなかったことだ。また、お客さまから聞かれなくても、われわれはお客さまに対して『この旅館はサスティナビリティ実現のためにこういうコストをかけている』などと伝えていく義務がある。われわれはSDGsの大きな枠組みの中でチェックインからチェックアウトまでお客さまに心地よい時間を過ごしていただきたいと考えている。そのためにわれわれはお客さまからの声を旅ホ連会員の皆さまにはっきりとお伝えし、できていないところは一緒になって解決していきたい」

 「会員の皆さまが、SDGsに関して何か取り組んでいれば、どんな取り組みでもいいので教えてほしい。例えば、フードロスをしないように献立を作ったり、ロスしたものが次の人に届くエコシステムを作ったり、いろいろ取り組んでおられると思う。会員の皆さまとはSDGsの取り組みに関しても情報交換などコミュニケーションをしっかりと取っていきたい」

 

行役員 ビジネスソリューション事業本部長 大塚雅樹氏

 
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