JR上場4社中間決算、コロナ影響で大幅赤字


通期業績予想も大幅赤字見込む

 JR東日本、東海、西日本、九州の上場4社はこのほど、2021年3月期中間決算(20年4月1日~9月30日)を発表した。新型コロナウイルスの影響で鉄道利用などが減少し、4社とも大幅な赤字となった。21年3月期通期の連結業績予想も発表され、4社とも最終赤字を見込んでいる。

初の中間最終赤字 JR東日本

 JR東日本の中間決算は、売上高が前年同期比48.2%減の7872億9700万円、営業損失が2952億8800万円、経常損失が3355億4300万円、純損失は2643億7900万円となった。中間決算の最終赤字は初めて。

 運輸事業では、駅や車内での消毒や換気の実施や駅係員および乗務員のマスク着用などの安心、清潔のPR活動、Suicaや新幹線eチケットなど非接触のサービス利用の促進などに取り組んだ。7月からは、全方面の新幹線を対象に「お先にトクだ値スペシャル(50%割引き)」などを発売した。

 流通・サービス事業では、8月に同社最大規模のエキナカ商業施設「グランスタ東京」(東京)や「エキュートエディション横浜」(神奈川)を開業した。不動産・ホテル事業では、沿線の暮らしづくりとして、8月に「アトレ竹芝(第Ⅱ期)」(東京)、9月に「日比谷OKUROJI」(東京)を開業した。このほか、Suica電子マネーの飲食店やスーパーマーケットへの導入を推進。Suicaの発行枚数は約8422万枚となった。「モバイルSuica」の会員数は9月に1千万人を突破した。

 21年3月期決算予想は、売上高が1兆9300億円、営業損失が5千億円、経常損失が5490億円、純損失が4180億円。

中間期初の営業赤字 JR東海

 JR東海の中間決算は、売上高が前年同期比41.5%減の3378億8800万円、営業損失が1135億7300万円、経常損失が1507億600万円、純損失は1135億6600万円。東海道新幹線の利用減などが響き、中間で初の最終赤字となった。

 営業施策では、利用拡大に向け、京都、奈良、東京、飛騨などの観光資源を活用した各種キャンペーンの準備を進めた。また、新しい旅として提案している「ずらし旅」を特設サイトやツイッターアカウントで発信するなど、利用拡大に向けた取り組みを展開した。流通業では、「ジェイアール名古屋タカシマヤ」「タカシマヤ ゲートタワーモール」で営業施策を展開した。不動産業では、東京駅で「東京ギフトパレット」を開業するなど、競争力、販売力の強化に取り組んだ。ホテル業では、感染拡大防止に取り組みながら、高品質なサービスの提供に努めた。旅行業では、「ひさびさ旅は、新幹線!~旅は、ずらすと、面白い~」キャンペーンと連動し、京都、東京、飛騨などの各方面に向けた旅行商品を販売した。

 21年3月期決算予想は、売上高が8630億円、営業損失が1850億円、経常損失が2580億円、純損失が1920億円。

開示以来初の赤字 JR西日本

 JR西日本の中間決算は、売上高が前年同期比48.8%減の3899億7100万円、営業損失が1447億3100万円、経常損失が1543億200万円、純損失は1281億1500万円。観光、出張での利用限などが響き、00年度に開示を始めて以来初の中間赤字となった。

 運輸業では、激甚化する自然災害への対策として、斜面防災対策をはじめとした豪雨対策や山陽新幹線における逸脱防止ガードの整備、建物、高架の耐震補強など、地震対策などを進めた。流通業では、7月にデジタル活用の推進を図る取り組みの一環として、同社グループの商業施設、飲食店にモバイルオーダープラットフォーム「O:der(オーダー)」の導入を始めた。このほか、ホテル業および旅行業では、感染症対策を十分に実施しながら「Go Toトラベルキャンペーン」などを活用し、利用の促進を図った。

 21年3月期決算予想は、売上高が9200億円、営業損失が2900億円、経常損失が3050億円、純損失が2400億円。

株式上場後初の赤字 JR九州

 JR九州の中間決算は、売上高が前年同期比41.5%減の1245億5200万円、営業損失が205億7100万円、経常損失が195億2千万円、純損失は102億4800万円。新型コロナウイルスの影響による鉄道利用の減少や、個人消費の低迷で、16年に株式上場して以降初の赤字となった。

 営業面では、ネット限定商品「みんなの九州きっぷ」の発売などを通じてインターネット列車予約サービスの利用拡大などを行い、利便性向上と鉄道事業並びに他事業の相互送客の促進を図った。

 輸送面では、7月に発生した「令和2年7月豪雨」の影響で鉄道施設に被害が生じた久大本線および肥薩線の一部区間で代行輸送を行った。「平成28年熊本地震」の影響で不通となっていた豊肥本線肥後大津―阿蘇間では復旧工事が完了し、8月8日に全線で運転を再開した。

 ホテル業では、新型コロナウイルスの影響により国内16施設中8施設で休館を実施していたが、営業再開後は国や各地方自治体の観光支援策の活用、テレワークプランの造成など、需要の取り込みを図った。

 21年3月期決算予想は、売上高が2917億円、営業損失が3230億円、経常損失が3140億円、純損失が2840億円。

 
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