飛騨・高山観光コンベンション協会 会長 堀 泰則氏に聞く

  • 2022年3月29日

堀会長

飛騨高山の観光再生に向けての取り組み

教育旅行誘致に全力 宿泊税導入も検討

 新型コロナウイルスの影響は岐阜県の飛騨高山観光にも及び、観光名所・古い町並などを歩く観光客の姿は少ない。コロナ禍に負けてはいられない、収束後に反転攻勢をとばかりに、飛騨・高山観光コンベンション協会は「観光産業再生プログラム」を策定した。堀泰則会長(ひだホテルプラザ会長)に観光復活に懸ける思いを聞いた。聞き手は論説委員の内井高弘。(3月上旬、協会事務所で)

 ――高山祭は高山最大の行事ですが、今年は開催するのですか。

 春(山王祭)はこれまで通り、4月14、15日に開催される予定です。神事や御巡幸、屋台曳(ひ)き揃(そろ)え、からくり奉納などを実施しますが、まん延防止等重点措置などが発令された場合は変更、中止となります。コロナ禍で2年間開催されておらず、関係者の間では「このままでは祭りの伝統が途絶えかねない」という危機感が強いようです。飛騨高山の観光にとっても欠かせぬ行事だけに、何とか開催してほしいですね。

 旅館・ホテルや観光施設、飲食店などは感染防止対策を徹底するなど、安心安全には細心の注意を払っています。まん延防止等重点措置が解除されたなら、ぜひご来訪いただきたい。

 ――観光客の入り込みはいかがですか。

 2021年では、コロナ前の19年と比べると58.8%減の194万8千人、うち宿泊者は同62.2%減の85万8千人となっています。コロナ禍の影響大です。高山は外国人客も多く訪れていたのですが、21年は3千人弱しか来ていません。コロナ前の19年は60万人を超えていただけに厳しい状況です。

 入国制限は3月14日から1日7千人に緩和されましたが、厳しい規制に変わりはなく、このままでは日本ファンを失ってしまう。一刻も早く緩和、撤廃してほしい。ゲートが開けば東南アジアを中心に戻り、特に台湾はその動きが早いと思います。

 ――Go Toトラベルの早期再開を期待する声も強いですね。

 現状ではゴールデンウイーク明けになるのではないかとみています。ワクチン接種の進展などでコロナ感染者が減少し、収束の兆しが出れば再開が期待できます。

 ――観光再生に向けどんな対策を講じていますか。

 先ごろ「観光産業再生プログラム」を策定しました。最終年の25年までにコロナ前(19年)の数値に戻すことを基本に、入込者500万人、宿泊者250万人を目標に掲げています。

 柱は「自然」「文化」「健康」の三つ。例えば、「自然」ついては中部山岳国立公園南部地域を間にはさみ、高山と長野の松本をつなぐ横断ルート「ビッグブリッジ構想」がありますが、この実現に努めます。高山、奥飛騨、松本、上高地、白骨を含めた一帯を網羅し、トレッキング・ハイキング、サイクリング、ドライブ、バス・電車、タクシーなどのさまざまな巡り方で地域の歴史・文化、アクティビティ、食といった多様な過ごし方を提供していきます。

 ――ホテルの進出が相次いでいます。客室もずいぶん増えたでしょうね。

 25年までにルーム総数は約千室増加し、5千室を超えそうです。地方都市で5千というのは非常に大きな数字で、中部地方では名古屋、金沢に次いで多くなっています。施設もバラエティに富んでおり、ラグジュアリーから民泊まで幅が広く、お客さまの好みに合わせ選ぶことができます。FITが主流となる中、選択肢の多さは高山観光の大きな武器となります。

 供給過剰という声もありますが、採算を重視する大手資本が相次いで高山に進出するのはそれだけの需要が見込めると判断してのこと。将来性をにらんでの先行投資の意味合いが強いのでは。

 ――MICE誘致にも熱心ですが、客室数の多さはセールスポイントになりますね。

 飛騨高山ビッグアリーナ(収容可能人数4千人)や飛騨・世界生活文化センター(同2千人)など施設規模、機能に関しては県内随一だと思います。26年には8千人程度の収容能力がある大型施設ができる予定です。来年には2千人規模の会議開催も決まっています。コロナが収束すればセールス活動を活発化させ、MICEといえば高山、といわれるようになりたいですね。

 ――高山を起点にさまざまな観光地に行ける「高山ハブ化構想」を掲げています。

 24年春の北陸新幹線敦賀延伸開業と同じ時期に、中部縦貫自動車道の福井―高山間がつながります。行動範囲は広くなり、市内を滞在拠点として、上高地や金沢、永平寺などがワンデートリップ内となります。少子高齢化で観光客の絶対量は減りますが、その分、泊数で増やしていきます。

 ――滞在型観光を定着させるには着地型商品の造成も必要ですね。

 滞在時間を延ばしてもらう意味でも欠かせず、新しい観光プログラムを造成します。例えば、食については薬膳体験や地元食材活用など、食のスペシャリストが開発する体験型コンテンツ。文化面では郷土玩具制作、茶道、禅体験や文化財巡りなど、高山の強みを生かした体験型コンテンツづくりなどに取り組みます。

――コロナが収束すれば、外国人客も戻ってくると期待されます。インバウンドについては。

 25年までに19年並み(約60万人)の回復を見込んでおり、高山の自然や文化などに対する理解を促す取り組みや、地域住民とともに歩めるような持続的な取り組みを推進します。例えば、混雑を避けた旅の提案やデジタルを活用したサービスの導入、長期滞在型観光への対応など。

 いずれにしても、「ハブ化構想」「MICE」「滞在型観光」「インバウンド」の四つが機能すれば、高山観光の再生はなると思います。

――高山は教育旅行に適した土地柄ですが、教育旅行生の規模はどのくらいですか。

 小、中、高校・その他(大学のゼミ、サークル活動や各種団体の研修旅行など)で、日帰りを含めた入込数は20年で411団体・4万972人、うち宿泊を伴うのは220団体・3万4092人でした。19年と比べるとダウンです。

 観光消費の面でも、また飛騨高山のファン拡大の面でも教育旅行は大きな役割を担っています。市や県も誘致に熱心で、受け入れ態勢の充実に努めています。高山に来てくれる学生に対し1人当たり千円分の商品券を配布し、買い物や土産購入に使ってもらえるよう働きかけています。大学などのゼミ合宿に対する支援制度もあります。県においても教育旅行受け入れの制度をいろいろ検討されているようです。

 コロナ禍によって教育旅行の在り方、泊まり方も変化が見られ、大都市や京都、奈良といった定番から地方都市も選択肢に入ってきました。飛騨高山に来ていただくチャンスと捉え、誘致に向け全力で取り組みます。また、コンベンション開催支援補助金で一定の条件を満たした場合、国際会議では200万円、国内大会では100万円を限度に助成します。

――宿泊税等法定外税の導入に向けた動きもあるとか。

 導入に向け検討を始めるということで、市では調査費をつけられました。入湯税との兼ね合いや不公平にならないよう、どう折り合いをつけるか、いろんな意見があることは承知しています。観光関連施策の財源を確保する上で宿泊税は有効であり、議論をしていきます

堀会長
     
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