風評被害続く北海道 影響額292億円、宿泊キャンセル94万人泊

  • 2018年9月24日

宿泊業界 通常営業アピール、陳情も

 北海道胆振東部地震の影響で道内の観光地が深刻な風評被害を受けている。旅館・ホテルなどの建物に直接の被害はほとんどなく、電気や交通など遮断されていたインフラもほぼ解消。ただ、予約のキャンセルが膨大な数に上り、北海道の発表によると、宿泊施設で94万2千人泊、影響額は交通、飲食なども含めておよそ292億円に及ぶ。観光関係者は普段と変わらず営業している状況をアピールするとともに、被害の払拭(ふっしょく)に向けて行政などに陳情。旅行を促進する施策の実施を求めている。

 北海道経済部観光局と、道や観光団体で組織する観光被害対策連絡会が15日に発表した地震による観光被害は、施設被害が118件、宿泊施設のキャンセル数が94万2千人泊。観光消費の影響額は宿泊施設のみで117億2500万円、観光施設や交通機関を含めると約292億円に及ぶ。

 日本旅館協会北海道支部連合会はキャンセル数が50万人、損害額が100億円以上との見解を示したが、被害はさらに上回った。

 定山渓温泉旅館組合(札幌市)によると、同温泉の宿泊キャンセルは9~12月宿泊分で約3万人、損害額はおよそ3億3千万円。普段は月平均で10万人の宿泊客数があるが、9月は2.5割ほど客足が落ち込んでいるという。

 「宿は全て通常営業しているが、予約のキャンセルが相次いでいる。これから行政、旅行会社と連携して被害に歯止めをかけたい」と橘真哉マネージャー。

 同温泉は被害の早期回復に向けて独自のキャンペーンを開始。今月30日まで、旅館・ホテルの日帰り入浴料を半額にするほか、商店や飲食店で利用できる2千円のクーポン付き宿泊プランを17日から販売している。

 登別国際観光コンベンション協会(登別市)によると、登別温泉の宿泊キャンセル数は9月6~9日分で1万2千人。「温泉街にほとんど人が歩いていない状態。台湾のツアーがぽつぽつと入っている程度だ」(大野薫専務理事)。

 旅館・ホテルは全て通常営業している。「同じ胆振地方の被害に心を痛めているが、登別は通常通り元気に営業している。ぜひお誘い合わせの上、お越しいただきたい」(同)。

 湯の川温泉(函館市)は、10日時点で9、10月宿泊分のキャンセルが1万5千人で、損害額はおよそ3億円。「取り消しの連絡はさらに来ており、数字は上積みされている」と函館湯の川温泉旅館協同組合の川崎研司事務局長。「9月は3連休が2回、10月は紅葉シーズンと書き入れ時だけに痛い」と肩を落とす。

 同温泉の旅館・ホテルは7日から全て通常営業。「お湯も普通に出て、1泊2食のサービスがしっかりできる」と来訪を呼び掛けている。

 層雲峡温泉(上川町)は11月までの宿泊キャンセル数がおよそ9千人。「客入りは例年より良くなかったが、さらに厳しくなった」と同温泉観光協会の中島慎一事務局長。

 宿は全て通常営業。9月22日から10月14日まで、同温泉奥の「紅葉谷」の木々をライトアップするイベントを初開催する。地震直後、他のイベントを中止する中、同イベントはあえて計画通りの開催を決めた。「消費する電力以上の節電に努める。イベントにより、お客さまが少しでも戻ってきてくれれば」(中島局長)。

 震源地からおよそ200キロ離れた道東の阿寒湖温泉(釧路市)。阿寒観光協会まちづくり推進機構の三亀徹事務局次長によると、「数字は不明だが、旅館・ホテルの宿泊キャンセルが多く出ている」状況だ。

 釧路市によると、同温泉の宿泊キャンセルは10日時点で約1万5千人。台湾からの観光客らにSNSでの情報発信を呼び掛けている。

早期の回復へ会議や陳情

多田全旅連会長が出席した北海道ホテル旅館生活衛生同業組合の正副理事長会議

 北海道運輸局観光部と北海道、北海道観光振興機構は12日、観光需要の早期回復に向けた緊急対策連絡会を設置、第1回の会合を開いた。会では観光施設や交通機関の情報を正確に発信するとともに、国内外への観光キャンペーン実施に向けて協議を行う。

 全国旅館ホテル生活衛生同業組合連合会(全旅連)の多田計介会長は12日、自民党観光産業振興議員連盟の細田博之会長、望月義夫幹事長、高階恵美子事務局長に復興支援についての緊急要望書を提出した。要望書では金融機関への返済猶予、緊急融資制度の創設、固定資産税や事業所税の減免、公共料金の支払い猶予など金融や税制面での支援ほか、国が宿泊費の一部を補助する「北海道復興割券制度」(仮称)の創設を求めている。

 多田会長は13日、北海道ホテル旅館生活衛生同業組合の正副理事長会議に出席。現地の被害状況や今後の対応について意見交換を行った。

 全旅連、日本旅館協会、日本ホテル協会、全日本シティホテル連盟の宿泊4団体は、国土交通省、観光庁をはじめとする関係省庁、国会議員などに風評被害対策などの要望書を提出する方向で準備を進めている。要望事項には、旅行需要の喚起に向けた補助制度の創設、観光キャンペーンの実施に関する協力、海外に向けた情報発信の強化などを盛り込む予定。観光事業者に対する政府系金融機関などによる金融支援も求める。

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